営業の属人化とは?原因と中小企業が仕組みに移す解消の順番

人に残す営業と、仕組みに移す営業。

記事の監修

株式会社めぐみや
代表取締役社長

大浦 理

「はじめてのWebサイト運用・集客入門」著者

Web集客・マーケティングの専門家として、15年間にわたり厳格な基準と緻密な戦略をもって中小企業の成功を導く。
一時的な集客の手法に頼ることなく、中長期的な効果を持続させる本質的なWeb集客の構築に注力。
『恵ある集客を。』をスローガンに掲げてクライアント様のサービスや商品の核心的な魅力を、的確にターゲットに伝えることを重視したWebサイト運用をサポート。

3行でわかる。この記事の要点
  • 営業の属人化とは、営業の成果が特定の人の経験や関係に頼っている状態です。中小企業では、社長や一人のベテランが営業の全てを担う形が多く見られます。
  • 解消の第一歩は、人に残す仕事と仕組みに移せる仕事を分けることです。人に残すのは提案・交渉・関係づくり、仕組みに移せるのは知ってもらう・比べてもらう・信用の確認・よくある質問への回答です。
  • 営業部隊が無い会社は、営業支援ツール(顧客管理などのシステム)の導入より先に、仕組みに移せる仕事をホームページに移します。進み具合は、サービスページの閲覧数と問い合わせ率で確かめます。

社長ご自身や、一人のベテランが営業を担っている会社で、こんなことが気になっていませんか。

「その人が辞めたり倒れたりしたら、売上がそのまま消える」
「お客様への説明を、新しい人に任せられない」
「社長が営業に追われて、経営を考える時間がない」

同じ悩みは、社内で働く人からも聞かれます。Yahoo!知恵袋には、メーカーの営業事務の方の「現在メインで担当しているユーザーがいわゆる属人化となっており、他に分かる人が誰もいません。」という相談があります。

めぐみやにも、社長ご自身が営業のほとんどを担っている会社からご相談が届きます。中小企業のWeb集客をご支援している立場から、営業の属人化を、人に残す仕事と仕組みに移す仕事に分けて解消していく順番をお伝えします。

この記事はこんな人におすすめ

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営業の属人化とは?意味と中小企業で多い形

営業の属人化とは、営業の成果が特定の人に依存している状態や、中小企業での営業の全てを一人が担う形を示した図解。

営業の属人化とは、営業の成果が特定の人の経験・勘・人間関係に頼っていて、その人がいないと同じ成果を出せない状態のことです。本記事では、営業部隊が無い中小企業で多い形に絞って、解消の順番をお伝えします。

一般的な意味:営業の成果が特定の人に頼っている状態

一般には、営業のやり方や顧客との関係が個人の中にとどまり、会社として共有・再現できていない状態を指します。営業の経験が長い人ほど、お客様の事情や提案の勘どころを頭の中に持っています。その中身が言葉や記録になっていないと、ほかの人が同じ対応をするのは難しいものです。

属人化そのものは、営業に限らずどの業務でも起こります。営業で特に困るのは、お客様との関係と売上が、その人と一緒に動いてしまうことです。

中小企業で多いのは、社長や一人のベテランが営業の全てを担う形

営業部隊を持つ会社では、トップの営業担当者とほかの担当者の成果に差がつく形で属人化が起こります。中小企業では、営業部隊ができる前の段階が多く見られます。社長が自分で営業をし、見積もりも提案も社長の頭の中で決まる形です。あるいは、一人のベテランだけが売れて、新しく入った人が育たない形もあります。

営業事務の仕事が一人に集まっているケースも、同じ属人化です。見積もりの出し方や受発注の手順がその人にしか分からず、休むと仕事が止まります。

自社が当てはまるかを確かめる5つの質問

次の5つに「いいえ」が多いほど、営業の属人化が進んでいると考えられます。

  • 営業を担っている人が1か月休んでも、見積もりや提案を出せるか
  • お客様の連絡先と、これまでのやり取りの経緯が、本人以外にも分かるか
  • お客様からよく聞かれる質問と、その答えが文章になっているか
  • 新しく入った人に、自社の説明を任せられるか
  • 担当者が不在でも、ほかの人が商談の状況を把握し、次の対応を判断できるか

5つ目に「いいえ」なら、商談の状況と次の判断がその人の頭の中にしかない状態です。この5つとは別に、ホームページを見た人から相談が来ているかも確かめておきましょう。営業の前半(知ってもらう・比べてもらう・信用を確かめてもらう・よくある質問に答える)を、人の手を介さずに進められているかの目安になるためです。本文の「順番1」からの4つの章で、営業の前半を仕組みに移していく手順を扱います。

ホームページに持たせる役割の決め方は、次の記事にまとめています。

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営業の属人化で起こる3つのリスク

営業の属人化で起こる3つのリスクを、売上と顧客情報が消える、新しい人が育たない、経営の時間がなくなるの3項目で示した図解。

営業の属人化で困るのは、その人がいなくなったときに、売上と顧客の情報が同時に失われることです。加えて、新しい人が育たないことと、社長の時間が営業に取られることも困る点です。

その人が抜けると、売上と顧客の情報が一緒に消える

営業を担っていた人が退職したり、病気や事故で働けなくなったりすると、その人が持っていたお客様との関係と、商談の経緯が会社に残りません。引き継ぎの資料が無ければ、後任は一から関係を作り直すことになります。

社長が営業の全てを担っている会社では、社長自身がその人です。Yahoo!知恵袋には、社長が事故で入院し「社長がいないと仕事が回らない状況」になった会社についての相談があります。営業の入口が社長一人に集まっていると、社長が動けない間は、そのまま売上が止まります。

説明の中身が人で変わり、新しい人が育たない

自社の説明が人によって違うと、お客様が受け取る印象も変わります。ベテランなら相手に合わせて説明を変えられますが、新しい人は何を話せばよいかが分かりません。教える側も忙しいので、同行して覚えてもらう以外の方法が無く、育つまでに時間がかかります。

社長が営業に追われ、経営を考える時間がなくなる

社長が営業の前半から後半まで全てを担っていると、新しいお客様を探す時間と、既存のお客様に対応する時間で1日が埋まります。価格の見直し、採用、新しいサービスの検討のような、社長にしかできない判断が後回しになりがちです。

営業の前半をホームページに移す作業を誰が担うか(採用・兼任・外注)の決め方は、「Web担当者がいない会社はどうする?採用・兼任・外注の決め方」の記事で解説しています。

属人化のメリットと、解消を急がなくてよい場合

属人化のメリットと、解消を急がなくてよい場合を示した図解で、関係と判断を残す、少ない会社の条件、今の体制で十分の3項目がある。

営業の属人化には、相手に合わせた柔軟な対応ができるというメリットもあります。何を人に残すかを決めることが、解消の出発点になります。

人の関係と判断で決まる営業は、残したほうがよいこともある

長い付き合いのあるお客様との関係や、条件の難しい交渉は、担当者の判断と信頼で決まります。この部分を無理にマニュアルにすると、対応が形だけになり、かえってお客様が離れることもあるでしょう。

「営業の属人化を全部なくすべきか」と聞かれたとき、めぐみやでは、社長の考え方と、そのときの会社の状況によるとお答えしています。社長が営業を続けたい会社もあれば、次の世代に引き継ぐ時期が近い会社もあるでしょう。どこまでを人に残すかに、どの会社にも当てはまる正解はありません。

解消を急がなくてよい会社の条件

次のような会社は、ホームページに営業の前半を移す作業を後回しにしてもよいでしょう。その場合も、お客様の情報と、よく聞かれる質問の答えを記録に残すことだけは先に進めます。

  • お客様の数が少なく、社長が一人ひとりの事情を把握できている
  • 営業を担う人が、当面増える予定も減る予定も無い
  • お客様との付き合いが長く、説明よりも関係で仕事が決まっている

お客様の情報と、よく聞かれる質問の答えの2つを先に残しておくのは、今の営業を続けるときにも、引き継ぐときにも使えるからです。

営業が属人化する4つの原因

営業が属人化する4つの原因を、説明が頭の中だけ、情報が散らばる、抱え込みがち、共有が報われないの4項目とともに示した図解。

営業が属人化する原因は、説明と判断がその人の頭の中にしかないことと、顧客の情報が個人の手元に散っていることの2つが中心です。共有する時間が無いことと、共有が評価されないことで、その状態が続きます。

説明と判断が、その人の頭の中にしかない

自社の強みの説明の仕方、どこまで値引きするか、どの仕事を断るかといった説明と判断は、経験のある人の頭の中で決まっていることが多いものです。文章にはなっていません。本人は毎回同じように話しているつもりでも、聞いた人が同じ説明を再現するのは難しいものです。

これまでのご支援を振り返ると、集客に成功している会社に共通しているのは、自社の強みを理解していることです。強みが言葉になっていない会社では、営業の説明も、ホームページの説明も、その人任せになります。

顧客の情報が個人の手帳や受信箱に散っている

お客様の連絡先、商談の経緯、見積もりの履歴が、担当者の手帳・メールの受信箱・スマートフォンに分かれて残っている状態です。本人は探せますが、ほかの人には見つけられません。名刺の束だけが残り、どのお客様とどこまで話したかが分からなくなる例も見られます。

共有する時間と仕組みがなく、忙しい人ほど抱え込む

売れている人ほど商談の数が多く、記録を書く時間が取れません。共有する場所や形式が決まっていないと、「あとで書く」が積み重なり、結局はその人の記憶だけが頼りになります。

売れればよいという評価で、共有が報われない

営業部隊のある会社では、個人の売上だけで評価していると、ノウハウを共有しても本人の得にならないので、抱え込みがちです。社長が営業をしている会社では評価の問題は起きませんが、社長の時間が営業で埋まるので、記録や共有に手が回らないという形で同じことが起こります。

マーケティングの作業を社内に残すか外に任せるかの分け方は、次の記事にまとめました。

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営業の属人化を解消する主な方法を比べる

営業の属人化を解消する主な方法を比べる図解で、手順書・マニュアル、営業支援ツール、同行・OJT育成を示している。

営業の属人化を解消する方法は、手順書づくり・営業支援ツール・同行による育成・評価制度・営業事務の外注・ホームページの6つに大きく分けられます。得意なことと負担が違うので、自社の規模と人手に合うものから組み合わせます。

方法ごとの得意なことと負担

主な方法を、得意なことと負担・注意点で並べると次のとおりです。

方法 得意なこと 負担・注意点
営業の手順書・マニュアルづくり 説明や判断の基準を文章に残せる 書く時間がかかり、更新が止まると使われなくなる
営業支援ツール(顧客管理・商談管理)の導入 顧客の情報と商談の経緯を1か所に集められる 入力の手間がかかり、営業する人が少ない会社では利用料に見合わないことがある
同行・OJTによる育成 現場の判断をそのまま見せられる 教える人の時間を使い、人によって教え方が変わる
評価制度の見直し 共有した人が報われる形にできる 営業部隊がある会社向け。社長一人の営業には効きにくい
営業事務の外注 見積もりや受発注の手順を外に出せる 費用がかかり、自社の判断基準を先に言葉にしておく必要がある
ホームページに営業の前半を置く 知ってもらう・比べてもらう・信用の確認・よくある質問への回答を、人の手を介さずに進められる 説明と事例を書き出す作業が要り、成果が見えるまで時間がかかる

Web集客を専門とする立場から見ると、どの方法を選んでも、その人の頭の中にある説明と判断を言葉にすることは欠かせません。言葉になっていないものは、マニュアルにもツールにもホームページにも移せません。

本記事がホームページを軸に進める理由

本記事では、ホームページに営業の前半を置く方法を軸に進めます。営業の前半とは、見込み客に会社を知ってもらい、他社と比べてもらい、任せてよいかを確かめてもらい、聞きたいことに答えるまでの段階です。ここは社長が毎回同じ説明を繰り返している部分でもあります。

営業部隊が無く、社長が営業をしている会社ほど、人を増やす・ツールを入れる前に、営業の前半を仕組みに移すほうが小さく始められます。人を雇う費用やツールの利用料がかからず、今あるホームページに書き足すところから始められるからです。ホームページに移せば、社長の時間を提案と交渉に回しやすくなります。すでに営業部隊がある会社は、手順書やツールと組み合わせて進めてください。

営業の属人化はホームページだけでは解消できない

ホームページが担えるのは、営業の前半です。商談の経緯や判断の基準は、ホームページには載せられません。属人化を解消するには、社内の仕組みも同時に整えます。整えるのは次の3つです。

  • 顧客管理:お客様の連絡先・商談の経緯・見積もりの履歴を、全員が同じ場所に書く
  • 判断基準の共有:値引きの範囲、断る仕事の条件、見積もりの出し方を文章にする
  • 営業の説明の仕組み化:会社の説明とよく聞かれる質問の答えを手順書にし、新しい人がそのまま話せるようにする

この3つは、順番2の棚卸しで書き出し、順番3で社内の置き場に入れていきます。棚卸しで書き出すものの一部(会社の説明・よく聞かれる質問の答え)はホームページにも載せるので、社内向けの手順書とホームページは同じ作業から作れます。

順番1:人に残す仕事と仕組みに移す仕事を分ける

営業の流れを前半と後半に分ける図解で、前半は「仕組みに移す」、後半は「人に残す」と示されている。

最初に、営業の流れを前半と後半に分け、前半を仕組み(ホームページと、商談の前に送る会社案内などの資料)に移し、後半を人に残すと決めます。この分け方が決まると、何を書き出せばよいかがはっきりします。

営業の流れを前半と後半に分ける

営業の流れを、見込み客の側から見て段階に分けると次のとおりです。「人か仕組みか」の列に書いた振り分けは、どの会社にも当てはまる出発点として、本記事で勧める分け方です。

段階 見込み客がしていること 人か仕組みか
知ってもらう 困りごとを検索し、会社の名前と何ができるかを知る 仕組み(ホームページ)
比べてもらう 他社と並べて、対応できる範囲や条件を見る 仕組み(ホームページ・資料)
信用を確かめてもらう 実績、お客様の声、会社概要を見て、任せてよいか判断する 仕組み(ホームページ)
よくある質問に答える 費用の目安、期間、頼み方など、聞く前に知りたいことを調べる 仕組み(ホームページ)
提案する 自社の事情に合わせた提案と見積もりを受ける 人
交渉する 条件や価格を詰める 人
関係を続ける 取引の後も相談し、次の依頼を出す 人(記録は仕組みに残す)

前半(知ってもらう〜よくある質問)は仕組みに移せる

前半の4段階は、どの見込み客にも同じ説明を繰り返している部分です。社長が商談のたびに話している会社の説明、対応できる範囲、実績、よく聞かれる質問への答えがこれにあたります。同じ内容なら、ホームページと資料に書いておけば、見込み客は自分で読み、相談に来る前に比べたり確かめたりできます。

前半を仕組みに移すと、見込み客が自社を理解した状態で商談に来てもらえる余地が生まれます。説明の時間が減り、話を提案から始めやすくなります。

後半(提案・交渉・関係づくり)は人に残す

後半は、相手の事情を聞いて提案し、条件を詰め、取引の後も関係を続ける段階です。提案・交渉・関係づくりは人が担いながら、判断基準と商談の経緯は会社に残します。人の経験を活かすことと、特定の人しか対応できない状態を解消することは両立できます。

商談の経緯は、誰にどんな提案をして、何が決め手だったかを商談ごとに書いておきます。判断基準は、どの条件なら引き受け、どこまで値引きするかを文章にしたものです。こうして残した記録は、次の提案の材料になり、担当者が不在のときに、ほかの人が状況を把握して次の対応を判断する手がかりにもなります。

順番2:営業の中身を棚卸しする

営業の中身を棚卸しするための手順を、持ち物を整理する、質問を集める、強みを伝えるの3つの項目とともに示した図解。

次に、営業を担っている人が何を持っているかを書き出し、よく聞かれる質問と、その答えを集めます。ここで書き出したものが、社内の記録とホームページの中身になります。

誰が何を持っているかを書き出す

書き出す前に、出発点を決めておきます。それは、見込み客が何に困って相談に来るのかです。

社長ご自身が営業のほとんどを担っている会社のご支援で、めぐみやが最初に行うのは、見込み客の本質的な悩みを聞くことです。社長が商談の場で聞いてきたお客様の困りごとを聞き取って言葉にしていくと、何から書き出せばよいかが決まります。

出発点が決まったら、営業を担っている人の持ち物(頭の中にある説明や判断と、手元にある情報)を、次のように書き出します。今どこにあるかと、移す先も一緒に書くと、順番3で迷いません。

持ち物 今の置き場 移す先
お客様の連絡先と、やり取りの経緯 手帳・メール・スマートフォン 社内の顧客の記録
見積もりの出し方と、値引きの判断基準 頭の中 社内の手順書
断る仕事の条件 頭の中 社内の手順書(ホームページには対応できる範囲として書く)
会社の説明と、自社の強み 頭の中・古い会社案内 ホームページ・資料
よく聞かれる質問と、その答え 頭の中 社内の手順書とホームページの両方
実績と、お客様の声 記憶・過去の資料 ホームページ

よく聞かれる質問と答えを集める(社内にも社外にも使う)

商談や電話で聞かれた質問を、その日のうちにメモしておきます。聞かれるのは、費用の目安、納期や期間、頼み方、対応できる範囲、他社との違いなどです。同じ質問が何度も出てきたら、それは営業の前半で毎回繰り返している説明です。

集めた質問と答えは、社内と社外の両方に使います。社内では、新しい人が説明するときの手順書として役立つものです。社外では、ホームページの「よくあるご質問」になり、見込み客が相談の前に自分で確かめられます。1つの作業で、引き継ぎとホームページの両方が進む形です。

自社の強みを、お客様に伝わる言葉にする

強みを言葉にするときは、社内の人だけで考えると、言いたいことと、お客様が選んだ理由がずれることがあります。既存のお客様に「なぜ当社に頼んだのか」「決める直前に何を迷ったか」を聞くと、自社では気づかない言葉が出てきます。

強みがうまく言葉にならないときは、「なぜこの事業をしているのか」「どのようなときにやりがいを感じるか」を社内で話してみてください。めぐみやでも、お客様の強みを言葉にするときに伺っている質問です。

競合と比べて自社の位置を確かめる手順は、「3C分析とは?中小企業のやり方・順番とテンプレート・記入例」の記事で詳しく解説しています。

社長の説明を聞き取って書く人を決める

棚卸しで難しいのは、社長やベテランが自分で書く時間を取れないことです。話してもらったことを聞き取って書く人を決めると進みます。社内の事務の方でも、外部の人でも構いません。

ホームページを活用できていないというご相談で、最初の打ち合わせで分かることが多いのは、Web担当者がいないことです。書く人が決まっていない会社では、ホームページの更新も止まりがちです。

Web担当者がいない会社のご支援では、お客様には事業の情報(費用面、サービスの決まり、実績など)を出していただき、書く作業はめぐみやが担っています。お客様がその情報を用意するのにかかる時間は、1時間程度です。

順番3:社内の置き場と、ホームページに載せる内容を決める

社内の顧客情報と商談の記録の置き場を決める図解で、顧客情報、実績と事例、よくあるご質問を示している。

棚卸しした中身を、社内に残すものと、ホームページに載せるものに分けて置き場を決めます。社内の置き場は1つにし、ホームページには営業の前半で繰り返している説明を載せます。

社内:顧客情報と商談の記録の置き場を1つにする

お客様の連絡先、商談の経緯、見積もりの履歴は、全員が同じ場所に書く決まりにします。表計算ソフトの一覧でも、顧客管理のツールでも構いません。大事なのは、置き場が1つであることと、書く項目を少なくすることです。項目が多いと書かれなくなります。

見積もりの判断基準と、断る仕事の条件も、同じ場所か、社内の手順書に書いておきます。「この条件なら受ける」「この条件は断る」が文章になっていると、新しい人が自分で判断できる範囲が広がるでしょう。

社外:ホームページに説明・事例・よくあるご質問を置く

ホームページに載せるのは、営業の前半で社長が毎回話している内容です。

  • 何ができるか:サービスの内容と、対応できる範囲・条件(受けられる仕事と、断る仕事の線引き)
  • 実績と事例:どんなお客様の、どんな困りごとに、何をしたか
  • お客様の声:依頼を決めた理由と、依頼後の評価
  • よくあるご質問:費用の目安、期間、頼み方、他社との違い
  • 会社概要:所在地、創業年、代表者など、信用を確かめる情報

上の5つは、見込み客が相談の前に自分で確かめたいことでもあります。ホームページに載せた内容は、商談の前に送る資料にもそのまま使えるものです。事実(できること・条件・実績・価格の考え方)を不足なく置いておくと、ホームページが社長の代わりに前半の説明を担ってくれます。商談につながるホームページの条件は、「集客と営業の違いとは?売る前に「教える」営業で成果に繋げる秘訣」の記事で詳しく解説しています。

お客様の声は、まだ無いなら無理に作りません。言われていない言葉を載せることになるからです。集め方と書き方は、「選ばれる理由とは?お客様の声の集め方と書き方・例文」の記事にまとめています。

営業の入口を変えた例に、システム開発のglorious future様のご支援があります。それまでは、こちらから働きかける営業が新規開拓の軸でしたが、潜在的なニーズをつかむのが難しく、効率が上がりませんでした。そこで、集客から受注までの流れを作ることをめぐみやに任せていただき、ホームページから有効なお問い合わせが届くようになりました。

ご支援実績株式会社glorious future様 システム開発/東京都

push型の営業が中心だった新規開拓に、ホームページからの集客を加え、有効なお問い合わせが届くように。

商談の前にホームページを見てもらう使い方

ホームページは、検索で見つけてもらうだけの場所ではありません。紹介や電話で接点ができた相手に、商談の前に見てもらう使い方があります。

めぐみやでは、商談の前に、よくあるご質問やお客様の声、実績などのページを先にお見せする使い方をお勧めしています。商談の前に基本の説明が済んでいれば、当日は相手の事情を聞くことから始められるのが利点です。

ご支援先で、商談の前に見てもらって商談の場面に変化があったのは、中でもよくあるご質問と実績のページです。どのページを見てもらうかは、相手がまだ確かめられていないことに合わせて選びます。

ホームページで集客を始める順番は、次の記事にまとめています。

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ここまでの内容を載せる場所が今のホームページに無い場合や、ホームページそのものが無い場合は、作り直しも選択肢になります。

Webサイト制作のサービス案内

めぐみやのWebサイト制作

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順番4:ホームページで営業の前半が進んでいるか数字で確かめる

ホームページで営業の前半が進んでいるか数字で確かめる図解で、見る数字を確認、商談で聞く、問い合わせをためるの項目を示している。

ホームページに営業の前半(知ってもらう・比べてもらう・信用の確認・よくある質問への回答)を置いたら、それが働いているかを数字で確かめます。足りない説明を見つけて足していくためです。主に見るのはサービスページの閲覧数と問い合わせ率で、問い合わせの数もあわせて記録します。

見る数字は、サービスページの閲覧数と問い合わせ率

めぐみやがアクセスの伸び悩みのご相談を受けたときも、最初に見るのはサービスページの閲覧数です。売上に近いページが読まれているかを、先に確かめるためです。ここでいうサービスページとは、順番3で「何ができるか」を載せたページを指します。営業の前半がホームページで進んでいるかは、次の数字で確かめます。

数字 分かること 分からないこと
サービスページの閲覧数 何ができるかを読まれているか(見込み客以外の訪問も含む) 読んだ人が相談したいと思ったか
問い合わせの数 相談がいくつ来たか 閲覧が増えた影響か、ページを直した効果か
問い合わせ率 訪問のうち、どれだけが相談に進んだか 率が動いた理由(ページの効果か、来る人の変化か)と、問い合わせの中身

問い合わせ率は、GA4(Googleの無料のアクセス解析ツール)で見られる数字です。そのためには、問い合わせの完了を「キーイベント」(成果として数える操作)として計測しておく必要があります。

GA4では訪問を「セッション」と数えます。設定ができていれば、「セッションのキーイベント率」が目安になり、この率は「キーイベントが発生した訪問の数÷訪問の総数」です。問い合わせ以外にもキーイベントを設定しているサイトでは、この数字がそのまま問い合わせ率にはなりません。その場合は、計測を設定した会社(ホームページを管理している会社や、Web集客を任せている会社)に、問い合わせだけの率を出してもらいます。自社で設定したなら、問い合わせの完了だけを集計の対象にします。

問い合わせ率が上がっても、ページを直した効果とは言い切れません。検索・紹介・広告などの流入経路の内訳もあわせて確かめてから判断します。

商談で「サイトを見た」と言われたかを聞いて確かめる

数字では分からないことは、商談の場で相手に聞いて確かめます。「ホームページをご覧になりましたか」「どのページが参考になりましたか」と聞くだけで十分です。見た人が多く、同じページの名前が挙がるなら、営業の前半がホームページに移り始めています。

商談の記録に、ホームページを見たかどうかと、参考になったページを書き添えておくと、ページを直す優先順位の材料になります。閲覧数が多いだけでは、見込み客が確かめたいことに答えられているかまでは分かりません。

営業の側で数える3つの数字

サービスページの閲覧数と問い合わせ率は、ホームページの集客の成果を見る数字です。営業の属人化が解消に向かっているかは、別の数字で確かめます。GA4では出ないので、商談の記録から数えます。

数字 数え方 分かること
商談の冒頭で基本の説明にかかる時間 会社の説明・できること・条件の説明に使った時間を商談ごとに記録する 短くなっていれば、営業の前半がホームページに移っている
担当者以外でも対応できる商談の割合 担当者が不在でも、ほかの人が状況を把握して対応できた商談の数を、商談の数で割る 商談の経緯と判断基準が会社に残っているか
商談前にホームページを見た顧客の割合 商談で聞いて、見た人の数を商談の数で割る 商談の前に見てもらう使い方が定着したか

件数が少ないうちは割合が大きく揺れるので、傾向として見るものです。1つ目と3つ目はホームページが商談でどう使われているか、2つ目は社内に経緯と判断基準が残っているかを示します。集客の数字とあわせて見ると、ホームページの改善と社内の仕組みづくりのどちらを先に進めるかを決めやすくなります。

問い合わせの件数がたまるまで続け、聞かれた質問を足す

ページを直した効果は、問い合わせの件数が少ないうちは判断できません。何件たまれば判断するかを先に決め、それまでは判断を保留してホームページの運用と計測を続けます。その間は、閲覧数のように問い合わせより先に動く数字で、ページが読まれているかだけを確かめます。

その間も、商談で新しく聞かれた質問は、よくあるご質問に足してください。社長の頭の中にしか無かった説明が、少しずつホームページに移っていきます。

社長の頭の中にある技術を言葉にした例に、押出成形加工のエクセル東海様のご支援があります。めぐみやが工場を見学して独自技術を理解し、Webサイトの言葉に落とし込みました。その後、それまでの取引先以外の新しいお客様からもお問い合わせが届き、大型受注も獲得されています。

ご支援実績株式会社エクセル東海様 押出成形加工業/静岡県

工場見学で独自技術を理解しWebサイトの言葉に落とし込み、リニューアル後に減った集客をV字回復。大型受注も獲得。


ホームページの効果測定の進め方は、次の記事にまとめています。

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数字の見方と、ページを直す順番を任せたい場合は、Web集客コンサルティングで対応しています。

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まとめ

営業の属人化とは、営業の成果が特定の人の経験や関係に頼っている状態です。中小企業では、社長や一人のベテランが営業の全てを担う形が多く見られ、その人が抜けると売上と顧客の情報が一緒に失われます。本記事では、人に残す仕事と仕組みに移す仕事に分ける進め方をお伝えしました。

順番は4つです。営業の流れを前半と後半に分け、営業を担っている人が持っているものを棚卸しします。次に、社内の置き場とホームページに載せる内容を決め、サービスページの閲覧数と問い合わせ率で確かめます。営業部隊が無い会社ほど、営業支援ツールより先に、ホームページが営業の前半を担う形を作ると小さく始められます。

「社長の頭の中にある説明を、ホームページの言葉にしたい」という方は、お問い合わせフォームよりご相談ください。

この記事のまとめ
  • 営業の属人化は、営業の成果が特定の人に頼っている状態。中小企業では社長や一人のベテランが営業の全てを担う形が多い。
  • 解消の第一歩は、提案・交渉・関係づくりを人に残し、知ってもらう・比べてもらう・信用の確認・よくある質問への回答を仕組みに移すと決めること。
  • 営業の前半はホームページに移し、サービスページの閲覧数と問い合わせ率、商談で「サイトを見た」と言われたかで確かめる。

営業の属人化に関するよくあるご質問

最後によくあるご質問をいくつかご紹介致します。
みなさまのWeb集客にお役に立てば幸いです。
その他、ご不明な点がございましたら以下のリンクよりお気軽にご相談下さいませ。
無料オンライン相談はこちらからどうぞ。



Q

営業の属人化は、社員が数人の会社でも起きますか?

A

起きます。社員が数人の会社では、社長が営業の全てを担い、説明と判断が社長の頭の中だけにある形がよく見られるものです。営業部隊が無くても、お客様の情報と、よく聞かれる質問の答えを社長以外が分かる場所に置くことから始められます。

Q

社長が営業の全てを担っている会社は、何から始めればよいですか?

A

社長が商談のたびに繰り返している説明を書き出すことからです。会社の説明、対応できる範囲、よく聞かれる質問とその答えを集め、ホームページに載せます。社長が自分で書く時間を取れないことが多いので、話してもらったことを聞き取って書く人を先に決めると進みます。

Q

営業支援ツール(SFAやCRMと呼ばれる顧客管理・商談管理のシステム)を入れれば、属人化は解消しますか?

A

ツールは、顧客の情報と商談の経緯を集める置き場です。説明の仕方や判断の基準が言葉になっていなければ、ツールを入れても中身は移りません。営業する人が少ない会社では、先に説明と判断を書き出し、表計算ソフトのような簡単な置き場で足りるかを確かめてから、ツールの導入を考えても遅くありません。

Q

営業事務の属人化も、同じ考え方で解消できますか?

A

できます。見積もりの出し方や受発注の手順が一人にしか分からない状態は、営業の属人化と同じ構造です。その人の頭の中にある手順と判断の基準を書き出し、社内の手順書に移します。そのうえで、お客様からよく聞かれる質問の答えはホームページにも載せると、問い合わせの対応を減らせることがあります。

Q

属人化の解消には、どのくらいの期間がかかりますか?

A

会社の規模と、営業の中身がどれだけ言葉になっているかで変わるので、一律には言えません。棚卸しと置き場づくりは、聞き取って書く人が決まれば先に形になります。ホームページが営業の前半を担えているかは、問い合わせの件数がたまるまで判断できないので、何件たまれば判断するかを先に決めて続けます。

Q

共有の仕組みを作ったのに、使われないときはどうすればよいですか?

A

書く項目が多すぎるか、使う場面が決まっていないことが多く見られます。記録する項目を、次の提案と引き継ぎに要るものだけに減らします。あわせて、見積もりを出す前に記録を見る、月に1回は記録を見ながら話す、のように使う場面を決めると、書く理由が生まれます。

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