最近、話題のオウンドメディアについて、「ウチの会社でも取り入れてみようか迷っている」というWeb担当者様もいることでしょう。ただ、企業戦略として取り組む場合、人的コストや費用をかけて「どのような効果が期待できるのか?」という点を理解する必要があります。
そこで今回の記事では、オウンドメディアの効果について、広告経由で自社Webサイトに誘導してきた取り組みとは違うメリットを取り上げていきましょう。また、オウンドメディアの効果を知るために分析する効果測定や目標設定について合わせて解説していきます。
目次
オウンドメディアの効果
オウンドメディアの効果を解説する上で重要になってくるのが、オウンドメディアで得られる恩恵のことです。従来、自社のWebサイトを宣伝するために広告出稿が主体だった企業の場合は、オウンドメディアの効果に驚くことでしょう。それでは、オウンドメディアの効果を5つほど取り上げてみましょう。
求められたユーザーとの出会い
まず、オウンドメディアは、企画段階からターゲットとなるユーザーに向けたコンテンツの配信を目的とします。広告から自社Webサイトへ誘導していた企業のWeb担当者様にとって、今までは顧客との偶然の出会いを日々期待していたことでしょう。しかし、オウンドメディアでの顧客との関係は違います。
検索結果で表示された広告から誘導されたユーザーではなく、自分にとって必要な情報を提供しているWebサイトを見つけて訪問してくるユーザーなのです。
オウンドメディアの方向性に合った潜在ユーザーが訪問してくることで、顧客に変わる可能性が高くなるでしょう。つまり、オウンドメディアの訪問ユーザーは、偶然の出会いではなく求められたユーザーとの出会いになるのです。
このように必然的なユーザーを顧客化できる可能性が高いことがオウンドメディアの効果の1つと言えるでしょう。
ブランディング
次に企業のイメージや商品の認知度をアップさせるブランディング効果がある点です。
売り込みのないオウンドメディアは、ユーザーに適切なタイミングで適切な情報を届けることができます。
オウンドメディアは、企業のブランドの信頼度を高める役割となるでしょう。
なぜならば、ユーザーにとって有益な情報を発信していることで、ブランディングの効果を発揮しているからです。
このように、企業の運営するオウンドメディアは、方向性を外さなければ自然とブランディング効果を向上できます。オウンドメディアでブランディングの成功するポイントについて解説している記事もあるので参考にしてみてください。
ファンとのコミュニケーション
訪問してきたユーザーにとって居心地の良いオウンドメディアは、ユーザーニーズのあるコンテンツを提供していくことでファンになっていくことが考えられるでしょう。
ユーザーが求めている情報が用意されていることで、メディアへの親近感も向上する可能性があります。そのため、オウンドメディア上でファンとのコミュニケーションが自然と深まっていくのです。このように、オウンドメディアには、ユーザーがメディアのファンになって親近感を持つ効果も期待できます。
自然検索からの質の高い集客
オウンドメディアに集まる訪問者は、需要の高い検索キーワードの結果ページに掲載された広告を経路して訪問してきたユーザーではないのです。
自然検索により上位表示された結果、見つけてもらい訪問してくるユーザーになります。
訪問ユーザーの求めているコンテンツを提供していることから、質の高い集客へ結び付けていく効果を期待できるのです。
オウンドメディアは、ある程度の規模に成長してくることでニーズの高いユーザーの獲得が見込めるでしょう。
広告費の削減
オウンドメディアの効果として、コストの削減になる点が企業にとって魅力的ではないでしょうか。
それは、自然検索で見つけてもらうこととソーシャルネットワークで共有されることで、広告経由での露出の必要がなくなるからです。
今までは、広告を経由して訪問してきたユーザーの成約率と広告出稿費用のデータを気にしていたのであれば、コストを考える必要がなくなります。
つまり、オウンドメディアは広告に頼る集客ではないため、大きな広告費の削減につながるからです。
ここまでオウンドメディアの効果を5つほど紹介してきました。
まとめると次の通りになります。
- 必然的に潜在層を集められる
- ブランディングできる
- ユーザーに親近感を持ってもらえる
- 質の高い集客につながる
- 広告費が削減できる
効果で得られることを並べてみると魅力的なメリットばかりに受け取れますが、広告を活用した集客とは違うため、効果を実感できるまでの長期的な継続が必要になるのも事実です。
オウンドメディアは、すぐに効果が得られる施策ではないという点を理解しておきましょう。
オウンドメディアで効果が得られない場合の主な理由
今までオウンドメディアで得られる効果を取り上げてきました。
ここでは、逆にオウンドメディアで効果が得られないときの主な理由を見ていきます。
効果が得られないときに振り返れる確認事項になるでしょう。
目標設定が高すぎる
まず、オウンドメディアの運営で目標設定が高すぎることで、理想と現実の違いに挫折してしまうWeb担当者様も多いのではないでしょうか。
「競合他社が始めたから・・・」という理由で、コンセプトも目標も決めないでオウンドメディアを運営していたら、「思ったより手間も時間もかかるのに効果が出ない」という結果に挫折する可能性が高くなります。
オウンドメディアは、費用対効果が大きい分、長期的な目線で取り組む必要があるのです。
また、目標に設定した需要のあるキーワードで検索上位表示をして、アクセスを増加させていくことは、狙うキーワードにより「目標設定が高すぎる」という判断になるでしょう。
目標設定が高すぎると既にある大手企業のオウンドメディアを上回るコンテンツの量と質が求められるので、相当な労力と時間が必要になります。
さらに長期間の取り組み中、オウンドメディアは収益を生み出してくれるわけではありません。
オウンドメディアの制作に関わる担当者は、売上の上がらない作業を淡々と続けていく必要があります。
企業としての捉え方は、「将来のための見えない投資」という認識になるのです。
この部分を把握したうえで「高すぎないけれど結果的に自社の強みを訴求できる目標」を設定することが理想的でしょう。
SEO対策がされていない
次にオウンドメディアで効果の出ない理由として挙げるのは、SEO対策が不十分な点です。
SEO対策は、ユーザーの検索意図に対しての最適な答えとなるWebサイトを上位表示させる仕組みになります。
オウンドメディアを必要とするユーザーに見つけてもらうため、SEO対策は欠かせない施策となるのです。
例えば、「オウンドメディアはコンテンツを充実させたほうがいい」という観点から、専門用語ばかりの読みにくいテキストだけのページを作ったとしても、ユーザーの離脱率が高ければ上位表示されないことが考えられます。
まさに読者のことを考えない情報提供者の主観だけで作成したWebサイトは、SEO対策が不十分と言えるでしょう。
SEO対策が不十分だと、検索結果上位にも表示されません。結果的にユーザーに見つけてもらうことができないため、訪問者のいないオウンドメディアになってしまうのです。これからの時代に合ったSEO対策について解説している記事を参考にしてみてください。
コンテンツに費やすリソース不足
また、オウンドメディアのコンテンツによっては、リソース不足のため途中で続かなくなることも考えられます。継続できないことは、効果が出る域まで到達できない状態です。
せっかく運用開始したオウンドメディアもコンテンツ作成に時間や労力がかけられなくなることで断念してしまう可能性があります。
具体的なリソースとして挙げられるのは次の通りです。
- コンテンツアイデア創出のための調査
- コンテンツ作成のための取材
- 画像・イラスト・動画撮影及び編集
- 記事構成
- 記事執筆と更新
- 記事の校正
- メディアデザイン管理
- SEO対策とWebサイト診断
- SNSとの連携
- 会員との関係性の構築と維持
- 今後の施策立案
これらの作業を自社の人員だけで取り組む場合、専属的な業務になっていくことも考えられます。また、外注に委託する場合は、メディアの方向性を共通認識できるまで更に時間や労力がかかるでしょう。
ここに挙げたリソースは、あくまで一例にすぎませんが、メディアの規模によって増減するのです。また、自動化できるツールなどは、有効的なモノから逆に検索エンジンからペナルティ判断を受けるリスクもあるので慎重に検討することをおすすめします。
自社のオウンドメディアが成果が出ていないことから、運用代行を考えている場合は、詳しく解説しているページがあるので参考にしてみてください。
オウンドメディアの効果測定
では、オウンドメディアの効果を具体的に見ていくにはどうすればよいののでしょうか?
オウンドメディアの効果を測定するには、「きちんと目標設定がされていること」と「効果測定を常に分析していくこと」の2つが重要になります。
目標設定方法
まず、オウンドメディアの効果測定をしていくためには、「このメディアで何を目指すのか?」というコンセプトが必要になってきます。
自社の商品やサービスに関連するユーザーの求める情報をコンテンツとして提供していく中で、「どの部分が自社の強みになるのか」をモチーフにしたコンセプトを掲げることです。
そして、コンセプトに向けたゴールをKGIとして設定します。そのゴールを目指して、戦略や戦術の策定になる具体的にKPIを設計していくのです。KGIもKPIも事実に基づいた現実的な指標でないと単なる理想に近い妄想で終わってしまいます。この点に注意しましょう。
具体的なKGIの目的としては、「認知拡大」「見込み客の獲得」「商品購入への促進」などが挙げられます。
- 認知拡大・・・閲覧指標
- 見込み客の獲得・・・集客指標
- 商品購入への促進・・・成果指標
それぞれ、目的とする指標に向けてKPIを設定していきます。ただし、オウンドメディアは商品販売ページの運営と違って、売上に直結する指標を設定しにくい面があります。
オウンドメディアの性質上、認知拡大や見込み客を増やすことを指標にすることが適しているでしょう。また、KPI設計では、コンセプトから外れないことを意識して設定しましょう。
効果測定方法
効果測定の指標となる目標設定が具体的で明確であれば、効果測定もスムーズに運びます。先程のKGIで設定した3つの目標は、「閲覧指標」、「集客指標」、「成果指標」です。
これら3つの指標を基準として、メディアの課題や目標達成状況の効果測定をしていくことになります。
効果測定で確認するデータは、Googleアナリティクスなど解析ツールで分析できる数値です。
それぞれのKPIの分析対象データは次の通りです。
オウンドメディアのテーマによっても成果指標が異なってくるため、これは、あくまで参考となります。特に注意して確認しておきたいことは、閲覧指標でしょう。集客も成果も閲覧がなければ始まりません。オウンドメディアが見つけてもらえなければ、そこから先の効果は全く期待ができないものとなるからです。
まとめ
オウンドメディアの効果について、いかがだったでしょうか?
今回、効果が出ない理由も併せて解説してきました。
オウンドメディアは、すぐに結果の出る手軽な取り組みではないことが理解できましたか?
全体をまとめて伝えたかったことは、多くの実践者が効果を実感できる前に運用をやめてしまうことです。
せっかく運用を始めたオウンドメディアを途中で断念してしまわないためにも、取り組んだ先に見える安定した効果を解説してきました。また、効果を測定する際の目標設定の重要性も理解いただけたのではないでしょうか。
この記事を役立ててもらい、オウンドメディアの長期的な制作工程の先にある安定した「自社ブランディング」や「集客」を目指していただければ幸いです。