企業が自社のオウンドメディアを運用することが注目されている昨今。オウンドメディア起ち上げに向けて躍起になっているWeb担当者は少なくないでしょう。しかし、オウンドメディアは企業が片手間で運用できるほど簡単ではありません。
その理由は、オウンドメディアの成功は、運用体制に左右されるからです。この記事では、オウンドメディアの運用体制について、具体的な役割と体制の作り方について詳しく解説していきます。企業のオウンドメディア担当者にとって有用な情報になれば幸いです。
目次
なぜ、オウンドメディアは運用体制が大事なのか?
さて、企業が取り組むオウンドメディアは、運用体制を重視しないといけないのは何故でしょうか?その理由は、オウンドメディアの運用に時間と手間がかかるからです。
オウンドメディアの運用は、個人の雑記ブログのような感覚で気ままにできる取り組みではありません。その点を企業の上層部が理解しないで、1人のWeb担当者に任せてしまうことは負担をかけ過ぎることになりかねないのです。
オウンドメディア運用にかかるコスト
オウンドメディアの運用には、時間や手間がかかると説明しました。では具体的なオウンドメディアの運用全般に必要な”やるべき事”を上げてみると次のようになります。
- チーム編成
- 組織内情報開示共有
- メディアの全体構成
- 企画アイデアの抽出
- 取材・データ収集
- 連載に向けた記事の作成
- 外部連携コンテンツ注入
- 全体スケジュール調整
ここまで上げた”やるべき事”を管理しながら進めていくことで、全体の基盤が出来上がることになるのです。さらに、参入するオウンドメディアのテーマによっては、構築段階で取り組む工程が増えることも考えられます。では、このような”やるべき事”をコストに置き換えて見て見ましょう。
人的・時間的コスト
オウンドメディアの運用体制をやるべきことで取り上げてきましたが、コストに置き換えると人的コストと時間的コストに分けて考えることができます。人的コストが、企画担当や制作担当です。また、管理運営担当も必要になります。
時間的コストでは、それら各担当者の作業時間が該当するでしょう。中長期目線で制作から運営していく必要のあるオウンドメディアは、時間的コストで考えると半年から1年単位で見ていかなければなりません。
ここでポイントとなるのが、人的コストを掛けられる人材を社内で抜擢できる状況か?自社の現状を再認識する必要があります。また、時間的コストについても、中長期目線で取り組むオウンドメディアの運営を通常業務の中に組み込むことが可能か?判断することが必要です。
運用体制が整っていれば成功できる理由
オウンドメディアは、人的コストも時間的コストも掛かることを理解した上で運用していきます。オウンドメディアは、中長期目線で取り組む施策だけに運用体制が整っていないことで、途中挫折となる可能性も高くなるのです。
それだけにオウンドメディアの成功のカギは、運用体制にあると言っても過言ではないでしょう。その理由は、自社の人材だけで行う場合、複数の人的リソースを担当させずに1人のWeb担当者に任せてしまうことが考えられるからです。
1人のWeb担当者にオウンドメディアの記事制作やSEO対策など、同時に業務負担させることにより、個人の負担が大きくなり、負荷がかかり過ぎることも懸念されます。この場合、運用前からオウンドメディアに関わる役割を振り分けることで長期的に取り組む施策を安定して実行することができるでしょう。
オウンドメディア運用の具体的な役割分担
今まで、オウンドメディアを運用するには体制を整えることが重要な点を解説してきました。それでは、具体的な役割分担について解説します。役割の紹介の前に「なぜ、オウンドメディアの運用は難しいのか?」について知っておく必要があるでしょう。
オウンドメディアの運用は難しい
オウンドメディアは、メディアとして軌道に乗ればアクセスも集まり、高い費用対効果を実感できるようになるので、魅力的な施策と言えます。ただし、あくまでも軌道に乗ることが前提になります。
ここでオウンドメディアの運用を難しく捉えてしまう要因を上げてみましょう。
- Webサイトの土台はできるが運営にコストがかかる
- Web担当が未経験者
- 競合に差をつける編集能力がない
上に挙げた要因により、オウンドメディアの運用を躊躇してしまう企業が少なくないのです。この点をふまえて、オウンドメディアの運用に必要な役割分担を見ていく必要があります。
オウンドメディアの運用上必要になる役割
それでは、オウンドメディアを運用する上で、どのような役割を振り分けて考えていくべきか?具体的に見ていきましょう。
メディア企画立案
オウンドメディアを構築する段階で、最も重要な設計の部分を決めるメディアの企画立案です。メディアの企画を考える役割は、主に企業のWeb担当者が担うケースが多いでしょう。
ただし、企業のWeb担当者が編集に対して決定権のある責任者の場合は、スピーディーに進む可能性がありますが、決定権のある上司がWebについて知識が乏しい場合、企画立案は難航する可能性があるのです。
その理由は、オウンドメディアについて客観的でないテーマになってしまうこと。自社を優先した都合の良い企画になってしまうため、企業の販売サイトと変わらないユーザーにとっては、物足りないコンテンツになることでしょう。
つまり、オウンドメディアのコンテンツは、アクセスを集めることが目的となるため、ユーザーに役に立つ企画を立てていく必要があるのです。くれぐれも自社の都合に偏った企画にならないように第3者目線の担当者に決定権を持たせることも必要ではないでしょうか。
メディア設計・記事構成
企画段階でオウンドメディアのテーマが確立されてきたら、メディアに訪問してくるユーザーの検索意図を踏まえたアイデア(ブログネタ)の選定に入ります。ここでアイデアの抽出とメディアの設計を同時に行う感覚でオウンドメディアの全体像が見えてくるのです。
メディアの設計では、テーマキーワードの需要価値によって全体の記事構成の規模も変化していきます。例えば、「旅行」のオウンドメディアでは、記事構成も「国内」「海外」「ホテル」「旅館」「食事付」「素泊り」などカテゴリも規模が大きくなるのです。
規模を小さくする場合は、「千葉・房総エリア・海鮮の美味しい食事付旅館」と絞り込むことで、記事構成のカテゴリも具体性とメディアの属性も明確になってきます。このように、企画段階のテーマによって、どの程度の規模のメディアになるのか?を記事構成の制作の前に認識しておく必要があるでしょう。
記事コンテンツ参考データ収集・取材
オウンドメディアの記事構成までを設計できたら、次に記事コンテンツ作成のためのデータ収集や取材が必要になります。この部分で、自社の強みの分野になる情報配信の場合は、データ収集や知識面で大いに差別化が図れることでしょう。
オウンドメディアは、訪問ユーザーの検索意図を意識した検索ユーザーに役に立つ情報を提供していく情報配信になります。そのため、記事コンテンツは信ぴょう性のある事実に基づいた情報であることが必要です。
中長期で安定したアクセスを集めるオウンドメディアに育てていくためには、データ収集と取材に注力することが不可欠になります。その理由は、データ収集と取材を参考にした競合サイトにない記事コンテンツを作成するためです。
記事執筆
記事コンテンツに必要なデータを集めたら、ユーザーに役立つ情報のアイデア部分が用意できたことになります。ようやく、この段階で記事の執筆になるのです。記事の執筆について、社内の人材に任せるか?外注のライターに依頼するか?の選択も必要になってきます。
記事の執筆でのポイントは、オウンドメディアの特徴として長期的な安定した継続投稿が必要とされるため、自社の人的リソースになると通常業務の一環として組み込む必要があるでしょう。つまり、担当者の記事執筆業務に必要な作業時間も考慮してあげないと負担が増えるのです。
記事推敲校正
執筆した記事をそのままWeb上にアップロードする前に、推敲や校正が必要になってきます。オウンドメディアの記事は、ユーザーにとっての読みやすさや文言の打ち間違えなどに注意する必要があるからです。
記事執筆担当者と記事の推敲校正担当者は、できれば違う人が取り掛かることが理想でしょう。ただし人的リソースの関係で推敲校正を担当する人材がいない場合は、記事執筆担当者が記事制作後に再度見直すことにより、誤字脱字などの修正対応になります。
この辺りの作業が業務時間内に組み込めるかが自社でオウンドメディアを運用する場合のポイントとなるでしょう。
メディア効果測定
記事執筆をして、推敲校正で精査した記事コンテンツをWeb上に投稿するまでの流れを説明してきました。この一連の工程を踏まえて長期的なオウンドメディアの運営になっていきます。さらに、オウンドメディアの運営体制ではメディア全体の現状を把握する必要があるでしょう。
それは、オウンドメディアの効果測定のことです。考えられるオウンドメディアの運用で分析していくべき効果測定の指標を上げてみます。
オウンドメディアは、直接購入につながる媒体ではありません。そのため、アクセス解析で確認できるサイト訪問者の数値データを指標とすることになります。また、メディアの最新投稿をSNS上で紹介した際のシェアの数を指標とすることもあるでしょう。
オウンドメディアの運用体制の作り方
続いて、オウンドメディアの運用体制の作り方について、具体的に案内します。オウンドメディアの運用体制を自社で整備するには、上長の理解は必要不可欠です。
企業のWeb担当者1人だけで取り組める規模ではなくなることが考えられるので、しっかりとしたオウンドメディアの運用の目的を明確にする必要があります。それでは、オウンドメディアの運用体制の作り方を段階を踏まえて見ていきましょう。
運用スケジュールの確立
自社でオウンドメディアの運用体制を構築する場合、明確にしておく必要があるのが運用スケジュールです。運用スケジュールを明確にしておかないと、必要な社内の人的リソースや金銭的コストも具体的に見えてきません。
運用体制からコストを試算するためのスケジュールがあいまいなままだと、上長への稟議も通りずらくなるでしょう。そのため、運用体制を作る前の段階で、運用スケジュールを明確にして、運用開始したオウンドメディアを「いつ頃までに目標記事数まで投稿する」などスケジュール目標を明確に設定することが必要です。
オウンドメディアサイト構築
続いて、運用スケジュールに沿って、オウンドメディアの土台部分を構築していきます。デザイン性に優れた魅力的なメディアの場合、Web制作会社に依頼することで構築にかかる時間は大幅に削減可能です。自社で取り組む場合は、Web担当者の経験や知識によって左右されます。
構築の段階でも、ある程度明確なメディアの完成形を認識しておかないと、意見の相違などで運用スケジュール通りに作業が進まなくなることもあるでしょう。そのため、オウンドメディアの構築に携わる担当者は、一定のWeb知識や経験がある人材が求められます。
コンテンツ作り
オウンドメディアの構築が出来上がり、メディア全体の形が整ってきたら、記事や画像をはじめとするコンテンツを投入していきましょう。先述したように記事コンテンツの場合は、記事執筆と推敲校正を担う担当者が取り組み、記事にマッチする画像や動画コンテンツも取材や調査により用意していくのです。
社内で体制を作るか?専門業者に依頼するか?
オウンドメディアの運用体制の作り方は、それぞれの分野別に担当者を設けて、コンテンツを追加していくことになります。メディアのクオリティによれば、自社の人材だけでは間に合わなくなるケースも少なくありません。
そのため、社内だけで体制を作るか?専門的なWeb制作会社に依頼するか?選択する必要があるのです。
まとめ
いかがでしたか?今回の記事では、オウンドメディアの運用体制について詳しく見てきました。オウンドメディアは、企画段階でも運用段階でも一定の継続期間が必要になります。そのため、時間効率や人的コスト削減を考えたら、専門業者に依頼することも選択肢になるのではないでしょうか。