インターネット環境が整ってきた昨今では、Web広告を活用する企業も増えてきています。そのような状況下において、リスティング広告の出稿費用も高くなっているのです。そのため、企業の課題として売上を下げずにリスティング広告費用を削減することがあげられます。
この記事では、リスティング広告の費用を削減するために何をすべきか?ステップごとに紹介していきましょう。さらに、Web集客をリスティング広告だけにたよらないで、Webサイト運営を競合他社と差別化する点についても解説します。広告運用の費用削減のヒントになれば幸いです。
目次
リスティング広告費用は削減できるのか?
では、リスティング広告の費用の削減について、実際にどのような削減方法になるのでしょうか?それには、リスティング広告の費用の内訳を知る必要があります。
- 広告サービス(GoogleやYahoo!)にかかる広告掲載料
- 広告代理店や運用代行業者に支払う手数料
企業が広告の出稿を代理店に依頼している場合、上記の広告掲載料を減少させるか?運用代行手数料を減らすか?のどちらかの費用を見直す必要があるでしょう。それでは、次に広告費用を削減してもコンバージョンが増えたケースから、どのような削減となるのか確認してみます。
広告費用を削減してコンバージョンを倍増させるケース
通常は、成果の出ている広告運用ほど広告費を削減することにより、コンバージョンも低下していくことになるのです。しかし、中には広告費用を削減してコンバージョンを倍増させるケースもあります。
具体的な施策
広告費用を削減してもコンバージョンが増えるケースでは、次のような具体的な施策要因が考えられるでしょう。
- 広告効果の低いキーワードをコンバージョン調査により最適化
- 広告グループの編成を見直し
- 効果の高いキーワードを精査し選択
- 効果の高いキーワードだけに予算を投入
- さらに、広告テキストのA/Bテストを実行
広告の運用を任せている代行業者への手数料を削減するのではなく、広告サービスにかかる広告費用の「無駄をなくす」ことにより、コンバージョンが倍増していく削減方法です。
リスティング広告費用を削減する為のステップ
それでは、リスティング広告の費用を削減するための7つのステップで紹介していきます。
ステップ①:品質スコアの改善
まず、リスティング広告の入札するキーワードには、キーワードごとに設定が必要な「品質スコア」という評価指標があるのです。キーワードごとの段階評価は、1~10となります。この品質スコアは、広告ランクに影響していくのです。
広告ランクにより評価を受けることで、低いCPCで上位掲載が可能になります。つまり、品質スコアの改善だけでも、広告費用の削減にもなり、獲得単価も改善されるのです。また、品質スコアの評価指標の要素をあげてみます。
以上のように、品質スコアの改善はキーワードを改善することにより解決されるでしょう。
ステップ②:キーワードの改善
クリック課金となるリスティング広告の費用は、「クリック単価に対して何回クリックされたか?」を目安に決定されます。そのため、クリック単価を安くするにはキーワードを改善する必要があるのです。
具体的には、効果的ではないキーワードを見極めて、そのキーワードに予算を投入しないことがあげられます。そして、高単価だけどコンバージョン率の高いキーワードに予算を集中投入していくのです。
ステップ③:上限クリック単価の調整
リスティング広告運用で最も重要な施策が、上限クリック単価の調整になります。その調整は、上限クリック単価を上げると、成果の出ているキーワードの露出度が上がる仕組みから、さらにコンバージョンも上がり、結果的に広告費用の削減になるからです。
ステップ④:キーワードの再設定
さらに、キーワードのマッチタイプを理解しましょう。キーワードのマッチタイプは、「完全一致」だけではなく「部分一致」もあります。現在では、スマホ需要から音声検索の活用も増えてきていることにより、検索キーワードの多様化が進んでいる状況です。そのため、関連キーワードを含めたキーワードの再設定も重要になります。
ステップ⑤:除外キーワードの設定
ただし、先ほどの部分一致だけではコンバージョンにつながりにくいキーワードもあるでしょう。その場合、特定の検索語句を除外したキーワードが設定できる除外キーワードの設定が必要になります。除外キーワードの設定により、コンバージョンの高いキーワードだけに広告を掲載させることが可能になるでしょう。
コンバージョンの高い、除外キーワードの設定基準は次の通りです。
- コンバージョン
- 売上
- 予算
- 目標
- 実績
- 自社製品との関連性
上記の指標を参考にして損益状況から該当キーワードからの撤退を判断します。
ステップ⑥:広告文や見出しの改善
コンバージョンにつながるキーワードに出稿できても広告文によって成約されないこともあるでしょう。その場合は、広告文や見出しの改善も必要となるのです。たとえば、文字数や使用可能な記号などがあげられます。広告文の改善は、品質スコアやクリック率にも影響するので、キーワードとともに見直しが必要な取り組みです。
ステップ⑦:A/Bテストの実施
リスティング広告におけるA/Bテストは、どちらの広告文が反応をとれるか?試験的に掲載して判断する取り組みになります。A/Bテストの指標は、表示回数につき「クリック数」や「クリック率」の数値で判断するのです。
以上の7ステップにより、リスティング広告の改善点を確認することができます。ただし、コンバージョンについては、広告文からの誘導先となるランディングページにも改善の余地があることでしょう。
ランディングページの改善
ランディングページの改善は、次の3つのポイントを確認します。
- 表示速度
- スクロール深度
- ヒートマップ
表示速度
ランディングページでは、ページを開いたときに、表示速度が遅いとユーザーの離脱も起こりやすいのです。その理由として、ランディングページは、冗長に長くなる1ページのみの構成であることがあげられます。対策としては、ランディングページの軽量化を目指すのです。
また、ランディングページに挿入した画像の画質はそのままで画像容量を低くすることも軽量化につながります。ランディングページがデザイン性と訴求効果のため画像フォントを多用している場合、デバイスフォントに切り替える(可能な限り)ことにより軽量化につながるでしょう。
スクロール深度
縦に長い1ページだけの構成となるランディングページは、「どこまでスクロールされたか」
や「ページのどの部分を重点的に読んでいたか」の確認が可能なヒートマップにより分析します。
ヒートマップ
ヒートマップにより分析できるデータは、次の通りです。
- どこをクリックしたか
- どの部分を見ていたか
- どこで離脱したか
ヒートマップは、サーモグラフィックによるページ閲覧分析を可視化できます。それにより、 ランディングページの改善施策を打ち出すことが可能です。
更にリスティング広告費用を削減する場合
さらに、リスティング広告の費用を削減するためには、指名検索キャンペーンを停止して「自社名」や「商品名キーワード」の入札をしないことがあげられます。この施策の前提として、自然検索で「自社名」や「商品名キーワード」による検索ユーザーの流入があることが必要です。
また、コンバージョンにつながった新規顧客をリピーターにするため、ダイレクトメールやメルマガなどで関係性を維持していくことにより、既存顧客となる可能性もあります。
リスティング広告以外のWeb集客を検討
それでも、広告運用では費用を抑えることができない場合、リスティング広告以外のWeb集客を検討する時期なのかもしれません。広告費用の算出に左右されるリスティング広告以外のWeb集客として、検討材料となる施策を紹介しましょう。
検索エンジンからの流入
検索エンジンからの流入とは、リスティング広告のような検索エンジンの検索結果広告枠に掲載する施策ではなく、検索エンジンの評価により検索結果ページの上位に表示される施策、検索エンジンの最適化対策のことです。検索エンジン最適化のことをSEO対策といい、検索エンジンの評価基準にそったWebサイトの運営を行っていくことになります。
プレスリリースなど外部メディアからの流入
また、外部メディアにプレスリリースとして掲載されることにより、リスティング広告以外でのアクセス流入が見込めるでしょう。それは、外部メディアに集まるアクセスからの拡散的な流入になります。
SNSからの流入
拡散的な流入として、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上で話題になることでも多くのアクセス流入が期待できるでしょう。特にSNSの場合は、自社の思惑以上の拡散力も秘めていることが特徴です。
直接流入
リスティング広告以外の流入として、自社のWebサイトがブックマーク登録されることにより直接アクセスしてくることも期待できます。ただし、自社のWebサイトのコンテンツが「ブックマークして後でじっくり見よう」と判断される内容であることが必要です。
検索エンジンによる集客が長期的に恩恵をもたらす
上記で紹介した広告運用以外の施策の中で、検索エンジンによる集客が長期的に安定した成果を期待できるでしょう。
検索エンジンによる集客とは
先ほど紹介した検索エンジンからの流入による集客は、SEO対策として長期的に安定したアクセスを見込めるのです。検索エンジンによる集客は、広告の運用と比べて費用を抑えられる点が特徴になります。
SEO対策による検索結果ページ上位表示
SEO対策は、広告運用と比べて時間や手間のかかる長期的な取り組みです。そのため、経験や知識も必要となることが考えられます。SEO対策の成果として、狙った検索キーワードの結果ページに上位表示されることにより、広告からの流入以上に目的意識の強い見込み客を獲得することができるでしょう。
ブランディングによる競合他社との差別化
さらに、検索エンジンからの流入では自社の強みを明確にして検索キーワードに反映させます。その結果、自社のブランディングが形成されるのです。ブランディングによる認知効果により、競合他社と差別化できる市場で集客することもできます。
コンテンツがマーケティング資産となる
ブランディングされたWebサイトは、自社のマーケティング資産となるでしょう。長期間継続して作り上げてきたコンテンツがWeb上で展開される集客資産となるのです。
Web集客に取り組むには
長期的に安定した集客が可能になる検索エンジン経由の流入をWeb集客とする場合、どのように取り組めばよいのでしょうか?具体的には、自社Webメディアの運営を開始するのですが、企業が本業の片手間で取り組めるほど簡単な施策ではありません。
長期的な運用の継続が必要
まず、メディアによるWeb集客をはじめるには、長期的な運用と継続が必要になります。特に、Web集客に参入している企業も多く、結果を出すまでの時間と労力に途中であきらめてしまう企業も少なくないのです。
社内外での運用体制の構築が必要
自社がWeb集客に参入する場合、社内外での運用体制の構築が必要となります。社内のWeb担当者がWeb施策において経験や知識を持っていたとしても、業務の片手間で取り組めるほど簡単ではないのです。そのため、外注となる専門業者に依頼することも手段の1つとして検討してみることが必要になるでしょう。
まとめ
今回は、リスティング広告の費用削減について、7ステップの取り組みを紹介してきました。しかし、リスティング広告の費用は需要の高いキーワードであればあるほど、資金力のある大手企業により高額入札されてしまいます。そのような費用負担で悩むよりも、広告運用以外の検索エンジンからの流入に注力することについて理解できたことでしょう。
確かに、リスティング広告は即効性の高い施策となりますが、予算の都合により十分なレスポンスを発揮できない場合もかねて、Webサイトによる競合との差別化を図ることをおすすめします。また、Web集客については専門業者との相談をふまえて判断することにより、回り道のない取り組みを実現できるようになるでしょう。