「ペルソナマーケティングは古くて通用しない」という判断は正しいのでしょうか?確かにペルソナの設定は、Webマーケティングを行ううえで古くから活用されてきたターゲティング施策です。ですが、インターネットが中心となる現在においても、ペルソナ設定がターゲットを知るうえでの効果的な手段であることにちがいありません。
ターゲットを明確にして、マーケティングに取り組むことは、Web集客において欠かせない下準備となるのです。この記事では、ペルソナマーケティングについての例やプロセスなどに焦点をあてて解説していきます。Web集客で悩んでいる企業の次の打ち手として、ペルソナマーケティングからヒントを得られれば幸いです。
目次
ペルソナマーケティングは古い?
この記事の冒頭での「ペルソナマーケティングは古い」という観点から、ペルソナ設定が通用しないと誤解をまねくことになるでしょう。ただし、昔からあるペルソナ設定では、ターゲティングが甘くなることも事実です。
ペルソナマーケティングは、インターネット環境が整った現在に合わせた場合、よりパーソナルな設定データが必要になってきます。以前ならば、年齢や性別、趣味趣向、生活様式などから架空の個人を想定してきました。しかし、現在の情報入手状況から判断すると、ペルソナマーケティングは設定した架空の個人を、実際に購買体験や利用体験した実在ユーザーと組み合わせてカスタマイズしていくことが求められます。
つまり、現在の消費者心理を活用したマーケティングでは架空のターゲットと実際の顧客を融合しながらペルソナを強化していくことが必要なのです。
ペルソナマーケティングとは
ペルソナマーケティングとは、どのような施策なのでしょうか?ペルソナとは、舞台用語で使われる「ペルソナ(仮面)」のことを指します。心理学において、ユングが提唱した人間の持つ「外的側面」のことをペルソナと表現したことから、人物設定の意味合いとして「ペルソナ」と呼ばれるようになりました。
マーケティング全般において、ペルソナは「自社の商品やサービス」を利用して最も価値を感じるユーザーを具体的に設定する取り組みです。ペルソナとして設定する項目は、具体的であればあるほど、特定の一人まで絞り込むことできるでしょう。
この記事では、Webマーケティングにおけるペルソナについて、コンテンツマーケティングとの親和性もあわせて解説します。
Webマーケティングにおけるペルソナの必要性
Webマーケティングにおけるペルソナの必要性は、ユーザーの意識に近づいた施策を展開できることです。企業は、具体的なペルソナを設定することにより、ユーザーの視点でコンテンツを作成することができます。
コンテンツマーケティングとの親和性
ペルソナは、コンテンツマーケティングの1つ、オウンドメディアにも有効的です。ペルソナ設定を施したオウンドメディアは、ターゲットとなる読者層が求めている情報をコンテンツにできるため、メディアに対して共感をもってもらえます。
ペルソナを設定する前に
先ほど、ペルソナ設定が企業のコンテンツマーケティングのユーザー視点を高めることについて解説してきました。Web集客を目的とする企業にとって、ペルソナ設定は欠かせない取り組みになります。
それでは、ペルソナ設定の前に準備しておくべきことを紹介しましょう。
目的をしっかりと定める
コンテンツマーケティングによるWebサイトの制作において、ペルソナを設定する前に、サイトによるマーケティングの目的を明確にしておくことが必要です。目的が定まっていない状態でペルソナを設定すると、間違ったユーザー像を対象にしてしまいます。
まずは、自社の集客メディアにより、どのような流れで売上を出していくのか?ビジネスの目的を明確にしておく必要があるでしょう。
ターゲット定めてから行う
ペルソナを設定する前に、自社のビジネス(商品やサービス)により満足してもらえる顧客をターゲットと定めます。企業の多くは、幅広い層に向けて商品やサービスを売りたくなりがちですが、求めていないユーザーにまで商品やサービスを購入させてしまうことは、顧客の不満を生み出すことに過ぎません。
ここで注意したいことは、実際に自社の商品やサービスに満足してくれている顧客像を過去の購入データなどから明確に定めることです。
ブランドを強くするためのペルソナを意識
さらに、ペルソナを設定する前に意識しておきたいことは、自社の目的に合った顧客層が得られる未来の状態を重要視することです。たとえば、快眠枕をあつかう企業が自社の枕をターゲティングしないで販売していた場合、幅広い属性に向けた訴求になります。自社の取り扱う「快眠枕」を具体的に訴求できなければ、誤った期待をもった属性にも購入される可能性があるのです。
ブランディングを意識したマーケティングは、商品やサービスを届けるターゲットも明確にしておくことで、需要のある属性に向けた訴求ができます。ブランドを強くするためには、ペルソナを意識した準備が必要になるのです。
ペルソナの一例
それでは、実際にどのようなペルソナ設定が必要になるのか?具体的な一例を上げてみましょう。ペルソナは、ターゲットを絞り込んで明確にしていく施策です。
例にあげる内容から人物像をイメージできることがポイントとなります。
ペルソナの具体例
企業の取り扱う商品:快眠枕
ターゲット層:寝つきが悪く、睡眠が浅い20代女性、事務職
- 氏名:田中よし子
- 年齢:27歳
- 性別:女性
- 未既婚:独身
- 職種:営業・カスタマーサポート
- 住居地域:埼玉県深谷市在住
- 実家:埼玉県本庄市
- 1人暮らしに憧れて、社会人になって親元を離れる
- 日夜、情報収集に貪欲でスマホが手から離せない
- 肩こりも深刻な状態で職業柄、ストレートネック気味
- 睡眠も小間切れ状態で1~2時間ほどで目をさましてしまう
- もっと、深い眠りで日頃の疲れをとってリフレッシュしたい
ペルソナの項目説明
上記にあげたペルソナでは、「快眠枕」を利用して過去に満足した顧客のデータやWeb上で睡眠不足に悩む女性の言葉を抽出して想定のヒントとしています。
ペルソナ設定でのポイントは、20代~40代までの女性というように、属性幅を広げ過ぎない「ひとりの個人」にまで絞り込むことが必要です。では、ペルソナ設定項目の説明をしましょう。
基本情報
基本情報は、「氏名」「年齢(〇〇代)」「性別」「属性(法人、会社員、個人事業主、専業主婦、学生など)」「住居地域」と、最初にイメージされる「○○にお住いの○○さん」というようなイメージで基本情報を設定します。
職業
職業については、基本情報で示した属性をより具体的にイメージできるように設定しましょう。
属性が会社員の場合は、「上場の大手外資系IT企業にてRPAのコンプライアンス管理を担当」や「都内に本社がある寝具メーカーの営業及び、カスタマーサポート担当」と具体的にはたらいている姿を想像できるまで絞り込みます。
生活スタイル
生活スタイルに関しては、先ほどの例でもあげたように、「1人暮らしに憧れて、社会人になって親元を離れる。
日夜、情報収集に貪欲でスマホが手から離せない」というような日頃、どのように暮らしているのか?基本情報で設定した属性からブレないように想定します。
人物像(性格)
性格に関しては、人物像のイメージしやすい特徴の設定が必要です。ペルソナ設定前の準備段階において、企業の目指す部分と「使ってもらって満足してもらえる顧客像」が明確になっていれば、「このような人がウチの顧客」とイメージができます。
顧客像の性格については、あえて完璧な人間を想定する必要がありません。逆に、自分に自信がなかったり、不安を抱えていたりする人物像のほうが同調されやすくなります。
生活環境(人間関係)
生活環境では、「どのように(住まい・職場・プライベートタイム)過ごしているのか」を具体的に設定しましょう。
とくに、人間関係は、具体性を高めます。たとえば、会社の上司に「50代独身のお局的な女性がいる」「お昼休憩中は、同僚ともっぱら上司の悪口で盛り上がっている」「プライベートでは、リアル友だちが1人。もっぱらSNSで同じ趣味の仲間とのつながりに夢中」というような日常環境や周囲を取り囲む人間関係を具体的に設定します。
金銭面・資産・収入面
金銭面では、「給料額」「貯金」をはじめとして、どの程度の電子決済をしているのか?金銭感覚において、節約志向なのか?など、金銭面から見えてくる人物像の参考となるでしょう。
趣味・興味関心
趣味や興味関心については、「プライベートで何に没頭できるのか?」に焦点をあてて、ペットの有無や習い事、資格取得のための勉強、身体を動かすためのスポーツ活動、参加しているグループなど、ペルソナの人物像が発する言葉にも影響のある部分なので、できるだけ詳しく設定することが必要です。
Web閲覧環境
Web閲覧環境は、ブラウザやネット回線など、どのような環境で情報を確認しているかを設定します。
所有デバイス
さらに、Web閲覧する際のデバイスについて、設定しておくことは情報リテラシーのスキル判断にも役立つでしょう。
スマートフォンのみで情報を収集しているのか?PCやタブレットも含めて複数のデバイスから確認しているのか?それとも、スマートTVをはじめとするスマートデバイスによる閲覧なのか?所有デバイスを明確にしておくことです。
トレンド察知度合い
また、ペルソナ設定の人物がトレンドをどの程度察知しているのか?についても重要な設定項目となります。
SNSやアプリなどから、どの程度のトレンド情報を察知しているか?についても、度合いを明確にしておくことが必要です。トレンドの察知度合いから、ペルソナの人間性も浮き彫りになってくるでしょう。
ペルソナ作成プロセス
ペルソナの設定項目にあてはめる属性内容について、闇雲にあてはめていくことは避けたほうがいいです。ペルソナの作成には、プロセスがあります。
ペルソナは、自社の商品やサービスとのたちポイントや理由などデータによって、作りこんでいくことが必要です。
アンケート・インタビュー
ペルソナの項目にあてはめる属性情報などは、自社の商品やサービスを購入した顧客に「アンケート形式」での感想を参考にすることができます。
また、自社の商品やサービスを購入することが予測される属性に対して、インタビュー形式の座談会やメールなどで意見を収集することも参考になるでしょう。
既存データ(社内・社外)活用
すでに、社内で保有している顧客データなども重要な属性データとなります。
また、社外のデータなども収集できる場合は、活用することが必要です。社内保有の顧客データだけではなく、社外のデータも含めることにより、ユーザーの立場に近寄れる情報になるでしょう。
Web解析データ活用
分析データとして、確かなのがWeb解析によるデータ活用です。
自社Webサイトの訪問者(アクセス)の属性から、利用デバイスやアクセス地域、アクセス時間帯などを参考にして基本情報を組み立てていくことにより、ニーズの高いユーザー像を設定できます。
ペルソナの運用方法
最後に、ペルソナの運用方法について解説しましょう。作成したペルソナが実際にビジネスに役に立つのか?検証は必要です。
適切な効果測定
作成したペルソナを運用するためには、ペルソナを軸にしたコンテンツでの情報発信をします。
企業のオウンドメディアなどがコンテンツマーケティングとして有効です。実際に、設定したペルソナが自社の商品やサービスを利用する顧客と食い違っていないか?アクセス解析のページ回遊などから分析して判断します。
定期的な見直しを実施する
ペルソナは、適切な効果測定をくり返しながら、自社のビジネスに高いニーズを持つユーザー像に近寄らせていくのです。そのため、ペルソナマーケティングは分析による定期的な見直しを実施する必要があります。
ペルソナを自社のリソースで作成させることも可能ですが、経験や知識が不足しているとコンテンツとの整合性も取れません。自社の商品やサービスを適切な顧客に届けるためにも、専門家に相談してみることも必要です。
まとめ
ここまで、ターゲットを具体化して顧客像を明確にするペルソナマーケティングについて解説してきました。ペルソナマーケティングが古い手法ではなく、パーソナライズ化された現代のWeb集客には欠かせない施策であることを理解できたでしょうか?
ペルソナ設定は、コンテンツマーケティングの準備段階において、大きな役割を占めています。コンテンツを自分事のように捉えるユーザーを集めるために、ペルソナ設定は手順にそって実行してください。