現在、オウンドメディアを運営している方の多くは、運営コストに悩まされているのではないでしょうか。サイトは構築してコンテンツを充実させたら終わりではなく、運用体制を整えて人員を揃え、継続的にサイトを運用しなくてはならないからです。そこで、オウンドメディアをマネタイズして運営コストを消化する方法についてご紹介します。
目次
オウンドメディアの概要
オウンドメディアとはどのような性質を持ったメディアなのでしょうか。まずは、オウンドメディアの特長について確認しましょう。
オウンドメディアとは
オウンドメディアは、意訳で「自分の情報媒体(Owned Media)」です。つまり、企業主や会社、個人などが「所有している情報を提供するための媒体全般」を指します。しかし、現在のマーケティング分野の意味合いとしては、単純に会社が保有するメディア全般ではなく、自社製品やサービスの認知を広げるための手法の一つとして扱われます。したがって、オウンドメディアの定義は、情報発信やサービスの拡散を目的としたWEBサイトやブログ全般、メールマガジンなどの運用を意味します。
オウンドメディアのマネタイズ化
オウンドメディアは、どの会社でも必要最低限のメディアとして所持しています。ところが、オウンドメディアの多くは、利益回収を行える仕組みになっていません。運営コストを消費して採算に見合わないか、もしくは他と差異化することが出来ていないブログ的側面しか持っていない、情報発信をするだけのものが大半です。そこで必要となるのが、オウンドメディアのマネタイズです。
オウンドメディアはサイト自体が利益を回収しない目的で作られます。そこでオウンドメディアのサービスを捉え直してマネタイズ(収益化)することです。良く知られている例として、モバイル事業のマネタイズは、無料アプリにクリック型広告を導入する、課金で有料サービスを一部提供するなどです。
無料で利用できるサービスに利益を回収するためのマネタイズシステムを導入することで制作費用や運営費用を回収します。以上のように、運営コストのかかるサービスであっても収益から消費コストを消化できるだけの仕組みを作り、事業を成立させている事例がたくさんあります。
マネタイズのメリット・デメリット
オウンドメディアをマネタイズすることは、メリットとデメリットの両側面を持ちます。マネタイズのメリットは何か、メリットのある一方でどのようなデメリットが存在するのかを挙げて見ましょう。
マネタイズのメリット
オウンドメディアをマネタイズするメリットは、見込み客を確保してリード獲得をしながら収益を運用コストに充てられることです。そして、マネタイズするメリットは先に挙げた運営コストの消化だけではありません。
オウンドメディアで獲得したファンは、継続的な購買行動を取ります。自身の価値観にあったものを利益から購入するのではなく、ファンとして購入します。それは必ずしも固形の物品だけに限りません。不動産や投資などの情報に対する対価を有償であっても購入してくれる貴重な収益源になります。目先の利益を取るサイトでは、他の利益性が高いサイトに顧客が流れてしまえばそれまでです。オウンドメディアであればその心配はほとんどありません。
そのため、一過性の収益とコストから収支バランスを前提に集客を捉えるのではなく、情報も顧客も全てオウンドメディアを支える資産になります。ここから、将来を見据えた運営が出来るオウンドメディアとしての立ち居地を確立して、収益面以外のメリットが生まれるのです。
マネタイズのデメリット
オウンドメディアはマネタイズすることで生じるデメリットがあります。それは、オウンドメディアは利益性を初期ターゲットに訴求しないため、購買につながる顧客がつくのに時間がかかる、もしくは効率が落ちることです。
オウンドメディアはファンの獲得に時間がかかるという側面も持っているため、運営コストをマネタイズして補填するまでの間に運営が破綻してしまうことも考えられます。オウンドメディアを立ち上げて失敗する事例の多くはこれです。そのため、オウンドメディアを構築する前に最低限の出資は覚悟して運営することが求められます。
また、マネタイズに切り替えるタイミングや内容によっては、少なからず見込み客であるファンが離れる可能性があります。近頃は、広告や宣伝に過敏に反応する顧客が多く、あからさまなポップ広告やバナー広告の大量設置でサイトから離れてしまうことも。マネタイズをする際は、広告や販売目的を過度に臭わせるコンテンツにならないよう注意する必要があるでしょう。
特に、オウンドメディアを途中からマネタイズにするというケースでは、ファンの中で潜在的な購買層に継続的に訴えかけるだけのコンテンツが必要です。あからさまな購買誘導や広告誘導は避けられてしまいます。よって、オウンドメディアのファンとの関係を考慮した上で一時的なものではない適切な広告や購入販売の導入が求められます。
SEO(検索エンジン最適化)で集客力を高める
オウンドメディアをマネタイズする際に必要になるのが集客力のアップです。検索してきた方(後にファン)を確保して購買や広告誘導するのはマネタイズの基本です。しかし、自社のメインサイトに比べて、オウンドメディアはSEO対策がしっかりと施されていないことも少なくありません。現在成功しているマネタイズしたオウンドメディアは、SEO対策が施されて月間で数十~数百万のプレビューを獲得しているメディアです。そこで、コンテンツを重視した集客力を高める方法について解説します。
キーワード選定の方法
自社のオウンドメディアに集客数をアップさせるための方法には、大きく分けて2つあります。1つは、検索エンジン対策をメディアに施して、検索上位からの集客を集める方法。もう1つは、リスティング広告を利用して集客する方法です。予算や会社の指針などで違います。どういった方法を取るにせよ、キーワード選定をしないことには始まりません。
キーワード選定は、SEOを施す場合に、これまで狙ってきたキーワードを変更することも含めて考える必要があります。ただ検索エンジンで上位を取ればよいのではなく、集客にはターゲットとなる対象がいて、見込み客を検索エンジンの流入から集めます。キーワードがターゲットに合致していないと集客できない原因につながっていることもあるからです。
したがって、SEOは上位を取るための手法としてだけキーワードを選定するのではなく、どのような情報に共感、あるいは収益性を見出して誰にどういったサービスや製品を提供していくのかまで考え抜いたキーワードが必要です。
具体的な方法は?
キーワード選定の具体的な方法は、グーグルのキーワードプランナーやサジェスト、共起語などを利用した方法が多くの事業者に利用されています。しかし、システムやツールに頼りすぎるのではなく、サービスから集まった情報を元に取り出したキーワードが市場と合致しているのか、ボリュームは足りているのかなどを検証するための利用にとどめましょう。どのようなキーワードから検索が行われたのかは、各社のツールやグーグルのサーチコンソールが使えます。
例えば、サービスに合致していて、キーワードはこれしかないと思っても、ボリュームや検索回数がほとんどなければ、たとえ上位表示したとしても大した集客は見込めません。よって、ロングテールキーワードまで含めて、関連するキーワードだけでなく、類似(複合キーワードの書き換え)キーワードに選定の対象を広げます。このように、対策を施すための予備的な施策もキーワード選定では同時に行う必要があります。
コンテンツで勝負する
グーグルや同じ検索アルゴリズムの検索エンジンを利用しているヤフー、他の検索サイトなどを見てもコンテンツが重視されたサイトが上位を獲得するアルゴリズムへと年々変化しています。特にグーグルはコンテンツを重視する方針を示していて、検索エンジン最適化は検索サイト大手のグーグルを中心とした対策をすることが、現在のオウンドメディアを運営している対策として主流になっています。
特に、高い品質が求められるオウンドメディアのコンテンツでは、検索エンジンからスパム扱いを受けるようなコンテンツや独自情報の少ないコンテンツを載せているとマネタイズで失敗するリスクがあります。検索エンジンに表示されなければ集客を見込めないからです。
成功事例の多くは、オウンドメディアをメインサイトやECサイトに誘導することだけを考えず、ジャンルに合った情報を掘り下げて独自コンテンツとして成立させているからこそ、高い質のコンテンツとして評価されるのです。
アフィリエイトサイトとの差別化
オウンドメディアは元々、利益よりコンテンツを重視したサイトを構築することが多いため、地力はアフィリエイトサイトなどよりも検索サイトで勝負するには有利です。しかし、マネタイズにするということは、今後の制作方針の中でアフィリエイトサイトとの差別化をはかる必要があります。
しかし、アフィリエイトサイトと一言で言ってもブログやサイト、SNSを利用したものまでさまざまあります。ここでは、アフィリエイトサイトを広告収益のみを上げるサイトとして位置づけましょう。
すると、オウンドメディアとアフィリエイトサイトの違いを意識することが出来ます。大きな枠では、アフィリエイトサイトとオウンドメディアのマネタイズは似た分類にされますが、根本的な部分が違います。
アフィリエイトサイトの目的
物販や情報商材などを中心としたアフィリエイトサイトは最終的な目的として、検索サイトから見込み客を集めて、広告をクリックしてもらうか商品購入のコンバージョンで収益を上げるものです。しかし、オウンドメディアでは運営コストの消化を目的とするのであって、広告クリックや商品への直接誘導が目的ではありません。オウンドメディアをマネタイズして失敗してしまう方は、アフィリエイトサイトとの差別化が出来ていないことが多いため、目的を間違えないようにコンテンツを作成します。
マネタイズの事例3選
マネタイズで重要なのは、自社メディアを通じて広告などの収益をもたらす仕組みに切り替えることです。そこで、オウンドメディアをマネタイズする場合の事例を大きく3つに分けて詳しく紹介します。
バナー広告
よく知られるのが、広告型のマネタイズです。アフィリエイトでもおなじみの方法です。サイトに張るだけで収益化することが出来ます。代表的なのは、A8やリンクシェアなどのASP、それからグーグルが提供しているアドセンスの広告などです。
しかし、オウンドメディアにマネタイズとして導入する場合は、バナー広告をはじめとした収益化には注意が必要です。1つは、販売している自社製品と競合するサイトへの誘導広告が出てしまう場合です。オウンドメディアにとって自社の利益を損なう広告を設置するわけには行きません。そのため、複数広告がサイトに合わせて表示されるアドセンスは、特定のサイトだけ非表示設定にします。
次に、ASPのECサイト提供の広告は、収益性の低いものを取り除く作業から始めましょう。広告は、成約すると収益が生まれますが、特定の商品や広告内容自体が人を集められないことも珍しくありません。
売れない広告や人を集められない広告は、コンバージョンにつながらないだけでなく、クリック率も下げてしまうため、ひいてはオウンドメディアの収益性を下げてしまうのです。小規模なオウンドメディアでは、マネタイズの事例として非常に多いため、バナーはサイトの目指す収益化に合わせたものを選びましょう。
物品販売
オウンドメディアには、情報を主体とした広報活動がある一方で、通販ECサイトに誘導することが目的のオウンドメディアが存在します。食品、日用品、薬剤、工具や医療など専門道具を取り扱うサイトも多数あります。こういったサイトのオウンドメディアとしてマネタイズするには、自社製品に関連付けたコンテンツを提供する方法があります。
例えば、某Aサイトでは、コラムで製品に関連した歴史や特徴を紹介することで、購買層を拾い上げます。また、某Bサイトは実際に物品や食品を取り扱っている姿や詳細の説明をコンテンツにして発信することによって、販売誘導とはまた違ったアプローチで製品をアピールする場になります。某Cサイト製品であれば造り方や品質、道具であれば使い方や作業での有用性などを別の形で紹介していくイメージです。
結果として、取り上げた物品や食品がファンによって繰り返し購入される層であるリピーターを得ることに繋がっています。
イベント
ネット上のサイトでオウンドメディアを運営していると、集客できるのはネットを普段利用する層に限定されてしまいます。しかし、某D会社のようにオウンドメディアを運営している会社がイベントを開催することで、ネットの見込み客だけでなく、リアルな層から集客をすることが出来ます。マネタイズにおいて、ネット集客にはない層の購買を誘導できます。このように小さなイベントでも開くことによって新たな見込み客を得るなど、手法としても大きな価値があります。
まとめ
今回は、オウンドメディアのマネタイズについて説明しました。最近の流行として自社サイトからオウンドメディアを立ち上げることも珍しくなくなった一方で、予算や収益性の面から失敗してしまうことも少なくありません。以上を参考にオウンドメディアのマネタイズを始めましょう。