オウンドメディアの成功に欠かせない要素の1つとしてマーケティングの話題に上がるのがブランディングです。上手にブランディングを活用することで、PRの一環として、オウンドメディアの効果をより高めることが出来ます。
しかし、オウンドメディアの運用は簡単なものではありません。そこで、ノウハウや実績のない企業がどのようにして、自社ブランドのオウンドメディアをブランディングしてPRすればよいのかについて解説します。
目次
オウンドメディアにおけるブランディングの役割とは?
オウンドメディアを運営する上で重要とされているのがブランディングです。オウンドメディアにとってブランディングをすることにはどのような意味があるのでしょうか?そこで、オウンドメディアがブランディングを通して果たす役割について各々説明します。
他企業と差別化
ブランドは、主に、ロゴやデザインなどの日本の代表的な製品やサービスから商品や企業の名前が分かるのが特徴です。そして、ブランディングはWebマーケティングに限ったものではありません。
例えば、スポーツ用のシューズでいえば、アディダスやアシックスなどがよく知られています。バッグならルイビトンやエルメス、紙おむつならムーニーマンやパンパース、飲料ならアサヒやコカ・コーラ社など。どれも大勢の人々が知る有名ブランドです。すでにテレビ広告や現実の広告媒体で宣伝されているため、高い認知度とブランド化がされています。同業種の競合は多いが、その会社にしかない魅力にファンが付いています。
Web上のオウンドメディアもブランディングをすることで、商品の特徴やサービス、名前が認知されるようになります。これにより、自社だけの立ち位置を明確化することができます。Web時代に突入した現在、コンテンツマーケティングをWebサイトやブログにまで拡大させていないなら試す価値はあります。
オウンドメディアでブランディングをすることによって、インターネット上にしかいない見込み客の層を引き込める可能性が高まります。実店舗でしか成果を出してこなかった中小企業や零細企業、ニッチの客層しかいない個性が強すぎる業種の企業店舗にとって費用対効果の高い戦略です。
ファンの獲得
ブランドを周知することで得られるメリットは、ファンを獲得できることです。ブランディングとファン獲得は、オウンドメディア運営をする目的でもあります。ファンに自社製品の購入やサービスを受けて収益を得ることが戦略上のポイントです。
アメリカから始まったコンテンツマーケティングの世界では、ファン(見込み客)の獲得が重要視されていて、そこからいかに利益に繋げられるかを多くの企業が目指しています。オウンドメディアはアメリカではすでに企業の多くに浸透している手法です。
成功例のあるオウンドメディアはブランディングをしなければ、現在の立ち位置が存在していなかったといえるほどです。ブランドとして価値を見出したことが市場で大きな役目を果たしています。
市場の価格競争を避ける
オウンドメディアは、利益を得ることに偏向しないメディアとよくいわれます。集客するのはあくまでも潜在的な見込み客で、何かを買いたいと求める顧客を直接は集客しません。
製品をそのまま売り込むには、品質や価格勝負になりがちです。負ければ需要は落ち込み、価格競争に負けたことになります。競争に負けた企業がどうなるかは、それこそ言うまでもないでしょう。
しかし、オウンドメディアが育てたコンテンツから付いたファンにとって、製品は価格だけでは考えない「ブランド」としての認識が広まっているため、価格競争に巻き込まれることなく、一定の収益を上げ将来の見込み客として定着します。
この段階まで来れば、類似サービスや同業者に対して価格差だけに縛られた運営が必要ありません。そのブランドに対するファンが生まれて気に入ったものを高く評価し、新たなファンを呼び込むというサイクルが出来るため必要なくなるわけです。
セールスプロモーションのコストカット
オウンドメディアは自社所有のメディアとして、見込み客を集めた後も運営していくことが可能です。コンテンツが話題になれば自然に顧客が増える集客の流れが構築できます。また、独自の自社ブランドとして集客できるようになれば、オウンドメディアの運営がセールスプロモーションの役割も果たすようになります。したがって、プロモーションによる販売促進やサービス紹介にかかる広告費のコストカットが可能です。
オウンドメディアにはブランディングが必要か?
オウンドメディアにブランディングが本当に必要なのかと思う方もいるかもしれません。確かに、ブランディングはマーケティングや広告主体の発想で広まった経緯があります。しかし、よく誤解される部分でもあるのですが、ブランディングは「いま」あるブランドの認知をそのままコンテンツマーケティングとして利用するのではありません。
すでに見出されてしまっている既存の価値観の中で戦うことは、資産力を前提とした市場の戦いに巻き込まれることを意味します。価格を一時的に下げたとしても、資産のある別の競合企業が同様に価格勝負を挑めば、時間の経過と伴に不利な状況は変わらず、負けてしまいます。
ブランディングが必ず必要と言っているのではなく、現在のSeoの状況やWebコンテンツの需要からみれば、今後成長しシェアを獲得できる場所や価値創造の余地が多く残されているのがブランディングです。
オウンドメディア成功はブランディングの力が大きい
オウンドメディアは、コーポレートサイト(自社の公式ウェブサイト等)に準じた扱いとして運営します。コーポレートサイトは実際、顧客とのコミュニケーションをはかる場ではありますが、相互に意見を交わして企業の身近な顧客を作るための機能としては十分ではありません。
コーポレートサイトに個性が色濃く出る時代で、企業の中にはホームページとして積極的に活用せずに概要や最低限のサービス情報だけを載せてコンテンツを増やしていく使い方をしない企業も多いでしょう。コミュニケーションをとるにしても細部までは不可能で、最低限の役割は果たしているが、それが見込み客となり自然なコンバージョンに結びつけるには役割が不足します。
オウンドメディアで成功した企業は、ブランディングによるところが大きかったのも事実です。自社製品やサービスから独自の情報(1次情報)として価値を見出して発信していく。それが価値として認められ広がっていけば後は自然と見込み客が集まって結果につながるというわけです。
オウンドメディアのSeo施策にもブランディングが求められる時代に
実は、オウンドメディアのブランディングは、市場の中で自社だけの立ち居地を確保するだけでなく、Seo施策にとっても必要性が高まっています。Seoでは現在、個性があり情報価値の高いコンテンツが検索で上位を取ります。
ブランディングが正しく、自社の個性を見出したものでコンテンツを形成しているのであれば、コンテンツを提供する上で有用なサイトとして検索エンジンに認められます。
ターゲット選びによってはブランディングが損なわれる
顧客に製品やサービスを勧める上で、「こんなペルソナの人にコンテンツを読んで欲しい」という【ターゲット選び】が重要になります。ブランディングにとってニーズの合わない顧客やエンゲージメントにつながらない集客はオウンドメディアの運営そのものを揺るがしかねません。
長期運営にもかかわらず、目的である見込み客からのサービス利用や購入が将来的に発生しない。客層のズレによって、コミュニケーション部分も機能を果たせず、顧客から得られた情報をメディアの運営に反映しても成果につながらないなど十分に考えられます。
オウンドメディアのブランディング過程は?
ここからは、オウンドメディア運営でブランディングをする過程について順番に説明します。
オウンドメディアならではの企業PRやブランディングを見出す
オウンドメディアを運営する企業にとって、何が強みで個性はどこにあるのか?ブランドがすでにある企業が立ち上げるなら、概ね自社ブランドについては捉えているでしょう。そこからブランドを価値ある個性にするのであれば、Web顧客の目線からどう映るのかを考えます。つまり、顧客が欲していて、企業側が提供できるニーズを共有するブランディングやPRの部分が重要です。
オウンドメディアは自社の資産を形成する大切なプロジェクトです。長期間の運営になるのですから、ブランディングやPRの詳細を決めるときは目的に合わせて1つずつ内容を決めましょう。誰が担当して、どのくらいの規模のコンテンツをいくつ投下するか?稟議なども使い、社内で話し合って決定を下していくことが最初の過程では大切です。
市場を調査する
ブランディングの具体案やコンテンツの詳細について出揃ったところで、実際に市場調査をします。いわゆるキーワード調査やペルソナを決める調査とはまた別です。市場で実際に運営しようとしているメディアが通用するのかを確認します。
市場調査については、場合により順序が入れ替わることもあります。また、すでに顧客とコミュニケーションが取れるメディアがあり、それを活用すれば、この手順を省略して次のステップに進むこともできます。
ですが、基本的にはブランディングを生かす形でオウンドメディアを運営するので、運営戦略や方針などを確認しつつ問題点を探っていく過程であるといえます。企業ブログを利用する方法などさまざまなメディアでの検証が考えられます。自社に合った方法で行います。
顧客からのヒアリング
想定している顧客のイメージからずれていないか、一致しているのであれば、メディアに対しての反応はどのようなものかを把握する過程です。ページビューや滞在時間のようなサイトアクセス情報からも分かることは多いでしょう。加えて、コンテンツに対する顧客の反応を知られる機会です。
万が一、想定していたのと違い顧客の反応が弱いと感じたのであれば、ペルソナや提供するコンテンツ自体に問題がある可能性があります。ヒアリングの内容を吟味して、検証から新たな制作内容に検討を加えましょう。
ブランディングした商品・サービスとして見込み客を集客
オウンドメディアの運営は中盤の過程で述べたような明確な反応や結果が分からないケースもたくさんあります。ほとんど反応が得られない場合もあるため、最初の数ヶ月はコンテンツを公開するだけで、結果が伴わずとも我慢が必要です。
長期的な運用を前提として、見込み客を集客を集客するための仕組み作りこそじっくりと腰を落ち着けて運営するのがベストです。集客の全体料が足りないと感じたら、Seo施策やキーワードの見直しを検討します。
オウンドメディアのブランディングから見えてくるもの
見込み客を得たら、経営用語でいう「エンゲージメント(商品に愛着を持つ状態に)」することが、オウンドメディアの主軸です。オウンドメディアにしか出来なかったこと、ではなく、オウンドメディアだから可能になったこと。それがブランディングによって見えてくるものです。
安易な気持ちでは始めない
オウンドメディアは一度始めたら、最後まで走りきる覚悟を持って続けましょう。中途半端な気持ちで終わってしまうことで、せっかく集めた見込み客が離れるだけでなく、ブランドイメージを損うなどあまり良い印象でないことは確かです。
自社の強みをブランディングするのに最適
オウンドメディアは他メディアよりもブランディングを実施するのに向いています。一般的に、ブランドを認知してサービスを知ってもらえるようにするのは、集客をするだけでは成立しません。
ステークホルダーにブランドとして認められる必要があります。ステークホルダーとは、利害関係者の呼称全般で顧客や取引相手、株式会社なら株主など関係性の強い相手のことです。オウンドメディアは顧客の中にコアなファンを加えたケースです。
自社で主導するブランディングですが、自社だけでは決まらないのがデメリットであると同時にメリットなのです。双方にとっての有益性が認められてこそ優れたメディアとして価値を発揮します。そして、コンテンツは企業の資産の一部になり情報として蓄積されます。
まとめ
オウンドメディアにブランディングの発想を取り入れて運営する方法について紹介しました。PRの場として、ブランディングを生かすためのポイントは、ブランドの認知を広げてファンを獲得できるサイクルをメディアとして構築することです。後は、長期で続ける覚悟を持ってメディア運用を開始しましょう。