オウンドメディアは、自社が運営するWebメディアのことです。企業がオウンドメディアを作る場合、「何となく始めてみた」では失敗する確率のほうが高くなります。そのため、オウンドメディアを作るには、段階ごとのポイントを知っておく必要があるのです。
この記事では、オウンドメディアの作り方を3つのセクションごとに解説します。
- 企画・戦略
- 構築
- コンテンツ制作
また、既にオウンドメディアの運営で成功している企業の事例も紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
企画・戦略
オウンドメディアを作る前の準備段階にあたる「企画・戦略」について解説します。オウンドメディアを企画して戦略を立てていくには、次に挙げる段階を経て設計していきましょう。
「企画・戦略」を5つの段階に沿って設定していきます。
目的・目標の設定
まず、オウンドメディアの目的から明確にしていきましょう。これから作るオウンドメディアに対して、「どのようなユーザーに、どのようなコンテンツを伝えて、どのような行動を起こしてもらいたいか?」の答えを設定します。
例えば、「若いビジネスパースンに向けて、仕事術のヒントになるコンテンツを伝えて、スキルアップに繋がる転職に成功してもらいたい!」という具体的なメディアの目的です。
「何となく始めたブログ感覚の情報発信」という意識では、オウンドメディアを長続きさせることは難しいでしょう。何といっても、目的を持って目標設定することが大事なのです。自社のマーケティングとして、「企業戦略のどの部分をオウンドメディアが担当するのか?」という点も明確にしておきましょう。企業戦略の明確にするべき部分が、目標設定となるゴールです。
そしてオウンドメディアは、ゴールから設定することから始めます。企業戦略でゴールに設定する項目は次の通りです。
企業ブランドの認知拡大は、コミュニケーション要素のゴールになります。また、売上増加はマーケティングゴールになるでしょう。設定するゴールは、企業によって異なります。自社の目的に合わせたゴールでオウンドメディアの企業戦略が決まっていくのです。
メディアコンセプトの設計
目標が決まったら、次にオウンドメディアのコンセプトの設計です。まず、メディアに訪問してもらうターゲットを明確にしましょう。また、企業の目的とコンセプトが一致することも確認しておきます。
ここでの注意点は、コンセプトを度外視したコンテンツの提供を避けることです。そのためにコンセプトは明確にしておく必要があります。構築したメディアでコンセプトから外れた方向性を見せてしまうと、リピーターが増えないだけではなく、PVも上がらないオウンドメディアになってしまうからです。このような理由からも、コンセプトの設定には重要視しておく場機でしょう。
ペルソナの設定
コンセプトが設定出来たら、続いてペルソナを設定しましょう。ペルソナは、具体的な架空の人物を想定して、リアルなメッセージを発信していくための施策です。オウンドメディアのコンテンツの一貫性を保つためには、ペルソナの設定は欠かせません。「誰に届けたいコンテンツなのか?」の対象となる「誰か」を設定します。
では、実際にペルソナの設定項目を取り上げてみましょう。
- 属性情報
- 居住地域または出身地
- 年齢
- 性別
- 最終学歴
上記5項目だけでもターゲットとして人物像をイメージできますが、オウンドメディアのペルソナ設定は、より具体的に絞り込んでリアルな「誰か」まで明確にしていきます。
- 家族構成
- 未婚既婚
- 配偶者有り無し
- 子どもの有無
- 同居家族
- 職業年収
- 趣味
- 休日の行動
- 価値観
- 友人や参加しているグループ
- 普段よく見るメディア
ここまで具体的に架空の1人を設定することで、コンテンツ作成時の迷いがなくなります。それは人間の本質として、大勢の人に向けて話しかけるよりも誰か1人に向けて話しかけるほうが、伝えやすいからです。
また、ペルソナの重要ポイントとして、実際のデータを収集して設定することが挙げられます。ペルソナの設定は、想像だけで作成しないようにしましょう。理由は、想像だけの架空のペルソナにリアル感は伝わらないからです。
では、どのようにしてペルソナの設定に役立つデータを集めれば良いのでしょうか?それは、自社の商品やサービスを利用する顧客にアンケートを取ることや、レビューを提供してもらうこと、さらにインタビューなどもできれば効果的です。特に読者ターゲットのヒントは、顧客と接する頻度の高い営業担当やカスタマー担当が持っていることが考えられます。できるだけ生のデータを集めて精度の高いペルソナを設定していきましょう。
編集体制の検討・整備
オウンドメディアは、長期的なメディア運営になります。そのため、体制作りが大事なのです。編集体制の基本は、セクションの確立になります。次に更新作業を維持できるリソースを確保しましょう。実際にセクションごとに「誰がどの作業をこなしていくのか」を決めなければ始まりません。
さらに、クオリティが維持できるチェック要員もいたほうがコンテンツの質が上がります。また、企業全体でメディア運営の意義を事前に周知していくことも必要です。一度、自社の運営チームで検討をしてみて、オウンドメディアの構築前に整備をしておくことをお勧めします。
スケジューリング
オウンドメディアの方向性が決まったら、次にスケジュール管理をしていきましょう。「1カ月に15記事投稿する」「1週間に3記事投稿する」など明確なゴールを決めて、タスクを遂行していく流れで計画を立てていきます。
オウンドメディアの場合は、PV数を目標にします。Googleアナリティクスを使って、反応のある記事の傾向を記録し、次の施策に繋げていくのです。ここまでが「企画・戦略」の段階になります。
オウンドメディアの構築
オウンドメディアの準備が整ったら、いよいよ構築段階に突入です。ここでは、構築する際のポイントを見ていきましょう。
構築する際のポイント
- 定期的に測定して分析
- コンセプトからズレていないか
- 想定外のアクセス流入はないか
オウンドメディアを構築する際のポイントは、作り始めたら定期的にメディアの反応を測定していくことです。さらに測定結果を分析して、「コンセプトからズレている記事や反応がないか」も確認していきましょう。そして、想定外のキーワードからのアクセスがあることも考えられます。
キーワードの確認は、Google提供のサーチコンソールを使って、定期的に流入キーワードを確認できます。
オウンドメディアは、長期的な運営になります。基礎になる骨組みがしっかりしていないと途中で続かなくなることもあるため、慎重に進めましょう。
コンテンツ制作
さて、いよいよコンテンツの制作です。先程のオウンドメディアの構築のポイントで解説したように、すべては分析により決定することになります。つまり、思いつきではコンテンツを作らないようにするのが賢明です。コンテンツの目的や意味を深堀して、ペルソナで設定したターゲットを基準にして作っていきます。
コンテンツの制作は、次の過程で進めていきましょう。
- 対策キーワードの選定
- 記事構成の設定
- 検索意図を踏まえて制作
対策キーワードの選定
対策キーワードの選定は、キーワードの検索数やユーザーの需要を重視します。ここで認識しておきたいことは、「ユーザーのニーズがあるキーワードは、競合が多くなる」という点です。
その点も踏まえて、キーワードの抽出を開始します。この時、自社の持つ顧客データなどを参考にキーワードを抽出してもいいでしょう。また、インターネットで関連ワードを追いかけたり、検索ユーザーの目的から連想したりして抽出していきます。
次に、キーワードの取捨選択となる絞り込みです。ジャンル別で分類して、投稿記事のカテゴリ分けにも活用していきましょう。最後に検索ボリュームチェックを実行して、キーワードの優先順位を決定します。その際にキーワードプランナーを使って検索ボリュームを確認することをおすすめします。
検索ボリュームで選ぶ際は、「1~100、100~1000、1000~10000」と、あいまいな範囲の表示の中から選ぶことを理解しておきましょう。
記事構成の設定
ここで記事を作成する段階になってきます。記事を読んだ人が「どのようになっていくことが望ましいか」という観点から、記事構成を設定していきます。記事の概要を設定して、アウトラインが出来上がることで記事に「見出し」も配置できるようになります。記事全体の骨子として、次のように構成を組み立てましょう。
- ユーザーが求めていること
- その要求に対しての提案
- 実際の解決策
- 結論
記事の構成は、「見出し」を設定することにより完了です。あとは、構成に沿って記事を執筆していく流れになります。
検索意図を意識して読みやすく制作
最後に、コンテンツ制作の注意事項となる検索意図の把握について見ていきましょう。検索意図を意識した記事は、ユーザーにとって読みやすくなるからです。検索意図となる検索キーワードは、サジェストキーワードを書き出してみることで見えてきます。
ペルソナで設定した具体的なターゲットデータとすり合わせて、違和感のないように修正を加えていきます。検索意図に沿っていれば、コンテンツの整合性も取れて読みやすくなります。コンテンツを読みやすく修正するには、検索意図とつなげていくことが効果的です。
以上が、オウンドメディアの作り方のセクションごとの流れになります。
オウンドメディアの成功事例
ここまで解説してきたオウンドメディアの作り方のポイントを押さえたメディアを3つほど紹介していきましょう。すべて現在進行形で成功している事例です。それぞれのオウンドメディアのコンセプトも確認できるので、ぜひ参考にしてみてください。
キャリアサプリ
株式会社アデコが運営しているメディアです。コンセプトは、「あしたのシゴトが面白くなるウェブマガジン」となります。中心になるのが、仕事の役に立つコンテンツです。具体的にキャリア・転職情報・仕事術・ベンチャー企業の紹介などを発信しています。実際は、人材派遣会社のオウンドメディアです。
若年層のビジネスパースンをターゲットにして、注目されています。
参考URL:キャリアサプリ公式はこちら
サイボウズ式
サイボウズ株式会社が運営している面白さを前面に出したメディアです。コンセプトは、「新しい価値を生み出すチームのメディア」になります。サイボウズ式は、会社・組織・働き方に注力した情報発信と、ライフスタイル関連(生き方 家族と仕事 )の情報発信です。本来、ソフトウェア開発・販売企業のオウンドメディアになります。
こちらのサイボウズ式では、インタビュー記事が会話調でスラスラ読みやすいことが特徴です。まさに引き込まれる要素のあるオウンドメディアになるでしょう。
参考URL:サイボウズ式公式はこちら
アドタイ(AdverTimes)
株式会社宣伝会議のメディアになります。ネット新聞のようなデザインです。配信しているコンテンツは、マーケティングや新しいサービスの情報になります。 広告代理店のオウンドメディアです。コンセプトは、「広告界の情報プラットフォーム」になります。ターゲットとなるユーザーは、広告業界関係者、企業の販促担当、広報担当、企画担当に携わる人です。
メディアの特徴が毎日更新しているニュースマガジン調な点です。
参考URL:アドタイ公式サイト
まとめ
いかがだったでしょうか?
オウンドメディアの作り方を順序立てて解説してきました。また、実際に成功しているオウンドメディアの事例の紹介は、お役に立てたでしょうか?
オウンドメディアの作成は、準備段階から設定まで、「やっておくべき重要なこと」が多い施策になります。言い換えると、この「やっておくべき事」を知らないで運営を続けていると一向に成果を感じられないままでしょう。
そのため、長期目線で取り組む必要のあるオウンドメディアは、作る段階で妥協をしないことが、将来的に安定した成果を期待できるのではないでしょうか。