昨今のインターネット環境の整備によって、リアル店舗への集客もWebを活用する傾向になってきました。店舗集客を従来のオフラインツールからオンラインを駆使した取り組みに変えることで、どのような成果が期待できるのでしょうか？

この記事では、店舗集客をWebに切り替えるために具体的な方法を模索している企業のWeb担当者に向けて、具体的な5つのWeb集客方法を紹介していきます。また、Webを活用した店舗集客において、注意すべき点も併せて解説していきましょう。

店舗集客にはWebが必要な理由

はじめに店舗集客をするのに、なぜWebが必要なのでしょうか？2つの理由を解説します。

消費者の購買行動はWebが主流になっているから

店舗集客でWebが必要な理由は、インターネットインフラが整いつつあることと、スマホの普及により消費者行動がWeb中心に変化しているからです。

オンラインビジネスはもちろんのこと、リアル店舗でも「各種予約」などは、メールやSNS（LINE・Facebook）経由で行われるケースも増えてきています。また、リアル店舗を取り巻く既存顧客や見込み客のコミュニケ―ションもブログやSNSを介して、購買行動前の貴重な情報の共有となることでしょう。

O2O施策の普及が購買行動につながりやすいから

もう1つの店舗集客にWebが必要な理由が、O2O施策（Online to Offline）が普及してきたからです。O2O施策によるマーケティングが顧客の購買行動を向上させることになります。

O2Oとは

O2O施策とは何でしょうか？O２O施策とは、Online to Offlineの頭文字を略称したマーケティング手法の1つです。Web集客となると、インターネット上で全て完結してしまうネットショップ型経営を連想しがちですが、実際にリアル店舗を構えて運営される企業にとっては、オンラインとオフラインの使い分けが必要になります。

O2O施策は、オンラインとオフラインの施策を連携させて、最終的に顧客に購買行動をとってもらうことが目的となるでしょう。O2O施策を効率的に活用するには、リアル店舗にて有効的なオフライン施策（Web以外での店舗集客）とWeb上で有効的な施策（Web集客）を理解して、最適に活用することが重要です。

たとえば、Web上にて、クーポン券や割引キャンペーン、Web特典などを発行してユーザーに認知、ダウンロードしてもらいます。そのうえで実意店舗への来店を促し、クーポンや特典を使って商品やサービスなどを購入してもらう流れです。

Web以外での店舗集客

リアル店舗ではO2O施策が有効的なことを取り上げてきました。では、O2O施策の1つ、Web以外でのオフラインによる店舗集客について、どのような方法があるのか？取り上げてみましょう。

チラシ・投函

Web以外での店舗集客方法として、チラシやメッセージカードなどの投函があります。チラシなどの投函は、地域密着型の店舗の場合、有効な手法となります。また、新聞折込みチラシを活用する方法もありますが、新聞購読エリアに限られてしまうでしょう。

チラシの投函は、配布エリアを決めて絞り込むことも可能ですが、投函するための労働コストとチラシ作成のコストを考えなければいけません。そのため、配布エリアが広かったり、チラシ枚数が多ければ、コストも高騰していきます。

ポスター掲載

チラシと特徴が似ている手法の1つが、ポスター掲載です。ポスター掲載は、チラシ投函ほどコストがかかりません。その理由は、チラシの場合が1軒につき1部の投函に対して、ポスターは人の集まる主要な場所に貼りだすだけだからです。

ただし、ポスター掲載の場合、掲載場所の需要が高ければ競合他社などのポスターとスペースを共有する必要があります。自社店舗のみを単独掲載となると、目立たない掲載場所になることも考えられるでしょう。また、ポスター掲載についても、公共施設など掲載について制限のかかる場所があります。事前のポスター掲載についての許可申請も必要になるでしょう。

イベント開催

Web以外での集客方法として、イベント開催は顧客とのコミュニケーションや新商品などを紹介する施策として有効です。Web上では実感できない「商品やサービスを体感する」ことをコンテンツとして活用できます。ただし、イベント開催については開催会場の用意や準備、コンテンツ制作などコストがかかるでしょう。さらに、かけたコスト以上にイベント当日に売上として回収することは予測がつけにくいのです。

看板広告

続きまして、Web以外での集客方法となる看板広告について、取り上げてみましょう。看板広告は、都心部のビル外壁や主要道路沿いなどで見かける広告看板のことを指します。設置したい場所の所有者との契約により設置が可能です。また、看板広告による効果測定は計測しにくいので、看板設置の継続判断は難しくなります。

電話営業

最後に紹介するオフラインによる集客方法は、電話営業です。インターネットが普及する前は、郵送によるダイレクトメールと一緒に主流だった手法になります。スマートフォンが普及してきた現在、電話営業は電話機の機能も向上して相手先にフィルターがかけられるため、成約しにくい手法となっているのです。

以上、Web以外でのオフラインによる店舗集客を取り上げてみました。実店舗の運営として、まだまだ有効的な手法もありますが、規模の拡大や認知度向上となると、労力や資金を投資する必要があるのです。そのため、現実的には集客範囲に制限を設けることになるでしょう。

Webでリアル店舗に活用できる5つの集客方法

では、オフラインによる店舗集客以上に集客範囲を拡大できる方法はあるのでしょうか？オフライン集客では限界のある規模に集客施策を活用できるのがオンライン集客になります。冒頭でもふれましたが、リアル店舗の場合、O2O施策を有効的に活用することで個人店舗でも大手企業でも同じフィールドで集客施策を打つことができるのです。

それでは、Webを活用したリアル店舗のオンライン集客方法を紹介していきましょう。

SEO対策

はじめに取り上げるWeb集客の手法は、SEO対策です。SEO対策は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの評価を最適化する手法となります。検索エンジンに評価されることにより、検索ユーザーが入力する検索キーワードの結果ページ上位に表示されることになります。

SEO対策は費用がかからない手法ですが、仕組みを作るのに時間と労力が必要になるでしょう。特に継続が必要になるため、SEO対策をリアル店舗の担当者が片手間で行うことは難しい取り組みになります。

ホームページ運用

続きまして、Web上に自社のホームページを掲載して運営していく方法です。昨今では、名刺代わりに自社のホームページを所有する企業も少なくありません。ホームページは、店舗の存在をアピールする情報発信となります。

ただし、ホームページをインターネット上に公開しただけでは自社のビジネスを求めるユーザーに見つけてもらうことは不可能です。先ほど紹介したSEO対策と併用して取り組むか、広告などを活用して認知を拡大する必要があります。

メディアブログ集客

企業のホームページの場合、会社の紹介などで企業目線の情報発信になってしまうでしょう。そこで、リアル店舗を運営する企業でもメディアブログによる集客を活用することにより、自社の商品やサービスを必要とする潜在ユーザーの共感を得ることができます。

メディアブログは、企業ブランドを前面に出すのではなく、検索ユーザーの役に立つユーザー目線に沿った情報発信です。時間と労力はかかりますが、長期的な安定した集客を考えたら、自社のブランディング効果も期待できる手法となるでしょう。

ソーシャルネットワークサービス

また、Web集客の力を発揮できる取り組みが、ソーシャルネットワークサービスの活用になります。ソーシャルネットワークは、現在のスマホ需要に欠かせないツールとしてリアル店舗の顧客と企業をつなぐ役割を担ってくれるでしょう。

具体的には、フェイスブックやInstagramなどで企業アカウントを運用して、個人ユーザーに認知共有してもらう流れになります。また、Twitterでは企業が発信するユーザーに役立つ情報が拡散して認知拡大になる可能性もあるのです。

さらに、双方向型のコミュニティSNSのLINEを活用することで、顧客と濃いコミュニケーションを図ることもできます。

広告運用

先述したホームページ運用の際に、Web上で多くの訪問者に見つけてもらいやすくするための手法が、広告運用です。広告運用は、検索エンジンの評価を上げるためのSEO対策を施さないで、掲載したい検索キーワードの広告枠を購入する投資手法になります。

広告の運用は、手間をかけないで検索キーワードの需要を調べたり、検索キーワードからのWebサイト訪問者の行動を分析したりするのに必要な運用方法になるでしょう。

Googleマイビジネス

オンライン集客の手法の1つとして、検索エンジンの大手Googleが提供する無料ツールを活用する方法もあります。Googleマイビジネスの仕組みを活用することは、Webによるオンライン集客において、SEO対策の効果を上げる可能性が高くなるのです。

特に実店舗で展開するリアルビジネスでは、Googleマイビジネスの地域検索結果の枠に表示されます。地域密着型リアル店舗や地域で希少性の高い店舗の場合は、Googleマイビジネスを参考にして店舗を探している検索ユーザーに向けた有効的な表示になるので、積極的に利用してみましょう。

業界特化型情報サイト

業界特化型情報サイトとは、専門性の高い業界の中でも特化した内容を発信する情報サイトのことです。たとえば、店舗がビジネスマンご用達の新宿の宿泊施設の場合は、「新宿に○○円以下で泊まれる駅チカのビジネスホテル10選」というWebサイトに掲載することになります。

店舗が飲食店の場合は、大手の業界サイトならば「ぐるなび」や「食べログ」などが挙げられるでしょう。さらに専門的に特化された情報サイトであれば、「地域名＋料理の種類」などで絞り込んだ情報サイトに掲載することが必要です。

業界特化型情報サイトの場合、絞り込み度が高いほど検索需要の高いユーザーが集まります。それだけ興味関心の高いユーザーに認知される可能性があるのです。

Webで店舗集客する際の注意点

次にリアル店舗での集客をWebにより行う際の注意点を取り上げておきましょう。オフライン集客より、Webによるオンライン集客のほうが認知度を高めることができます。ただし、気をつけておきたい点は、自社ブランドの認識とソーシャルネットワークによる炎上の危険性について理解しておくことです。解説していきましょう。

自社ブランドの認識

1つ目の自社ブランドの認識とは、現在の自社店舗の状況を客観的に理解しておくことです。自社のブランドイメージが不祥事や口コミ評価の低い中で、「地域で最も評判の高いお店」とは表現できません。自社のブランド認知を無視した紹介になってしまいます。

Web上で認知度を高める際は、現在の自社のブランドイメージを確認してから行うようにしてください。ブランドイメージの調査など、Webコンサルティングの専門家に相談してみることをおすすめします。

SNS活用での拡散による炎上

また、自社の評判がよくない状況でソーシャルネットワークを活用した拡散を狙ってしまうと、逆に炎上のリスクが高くなるのです。ソーシャルネットワークを活用した広告の運用などで見られる現象になるので、広告のキャンペーン作成などは慎重に行う必要があります。

広告の運用とソーシャルネットワークサービスの関係性など、専門家のWebコンサルを受けることも結果的に近道になることが考えられるでしょう。

まとめ

今回は、オンラインとオフラインを効率よく活用したリアル店舗の集客について、取り上げてみました。リアル店舗の集客は、実際に訪れてもらうことが必要なため、Webを活用した見込み客に向けた施策と実際のサービスや商品を体感した結果に満足してもらうことが良い結果につながります。

くれぐれも誇大広告となったり、検索ユーザーが意図しない情報の配信になったりしないユーザーにとって有用な情報を駆使して、リアル店舗のWeb集客を実現させてみてください。特にWeb集客未経験の担当者の場合は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。